大腿骨頭壊死
病気の概要
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何らかの原因で脚と骨盤の接続部にあたる大腿骨頭の一部に血が通わなくなり、骨組織が死んでしまう(壊死)疾患です。原因が特定できるものを症候性大腿骨頭壊死症といい、原因が不明のものは難病指定の特定疾患でもある特発性大腿骨頭壊死と呼ばれます。ステロイド投与やアルコール多飲が危険性を高める要素といわれており、30~40代によく見られます。
症状について
大腿骨頭の壊死が進むと体重を支え切れなくなり潰れてしまい、股関節周辺の痛みや動かしにくさを感じるようになります。痛みは数週間で軽くなることもありますが、そのまま進行すると慢性的な痛みや、変形性股関節症を生じることがあります。
検査について
X線(レントゲン)検査によって診断します。必要に応じてMRI検査や骨シンチグラフィ検査を行う場合があります。
治療
壊死の範囲や病状進行の程度、年齢を考慮して選択します。壊死範囲が狭く、進行していない場合は手術はせず保存療法として活動性の制限や鎮痛薬投与を行い、骨頭が潰れて変形が進むと予想される中等症の場合では手術療法として関節温存術(骨切り術)を行い、重症と判断される場合は手術療法として、人工大腿骨頭置換術や人工股関節置換術を行います。
病気の予防
アルコールやステロイド剤の摂り過ぎに注意を払うことは重要です。骨は壊死しても潰れなければ症状があらわれないといわれていますので、発症したら、重症化する前に速やかに適切な治療を受ける必要があります。日頃からアルコールの摂り過ぎや不必要なステロイド剤の服用に注意を払うことは重要です。歩行障害などの症状が発生した時には大腿骨頭の壊死が進み、すでに潰れている可能性があるため、危険要素を持っている方で痛みのある方は、早めに整形外科への相談をおすすめします。
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監修:市川 理一郎
整形外科/関節グループ/人工股関節センター長
よくあるご質問
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歩くのに支障がなければ、手術が必要ない場合もあります。当院整形外科関節グループ医師の外来を受診しご相談ください
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まず、本当に特発性大腿骨頭壊死かどうか検査を受けることが重要です。外傷後の骨頭壊死や、高齢者に多い急速破壊型股関節症は、特定疾患にあたりません。医師にご相談ください。
良いか迷ったときなどお電話ください。