前職では訪問看護師を離れ、デイケアにて勤務していました。もう一度訪問看護師として働きたいと思ったのは、一人ひとりの利用者様とじっくり向き合い、在宅支援ができる訪問看護師の魅力を再確認したからです。とはいえ、ブランクがあったため不安が大きかったのですが、知人から職場の雰囲気や人間関係の良さについて事前に話を聞いていたこと、看護体制が受け持ち制(一人の利用者様に対して一人の訪問看護師が担当として訪問する体制)ではなくチーム制(一人の利用者様に対して複数の看護師が訪問する体制)であることを知り、ここであれば安心して働くことができると思いました。
チーム制のメリットは、何よりも自分一人の目だけでなく、複数の目で利用者様を看ることができるところだと思います。対応に困ったり、利用者様の異変に気づいたりした時など、他のスタッフに相談できることが今でも私にとって一番の安心材料となっています。また、子育て世代のスタッフが多いのですが、急な休みにもスタッフ間で柔軟に対応できることも魅力の一つです。入職後3ヶ月間は先輩スタッフに同行させていただいたり、訪問先で何かあった際にはステーションのスタッフだけでなく、米盛病院の職員にも相談ができたりと、万全なフォロ-体制のなかで働くことができていると感じています。
訪問看護師として働くなかで、さまざまなことに直面します。例えば、利用者様が最期を迎えるとき。何度経験しても辛い瞬間ではありますが、ご家族に寄り添うことに徹します。深い悲しみを受け止めるのは時間がかかることです。最期の時間を悔いなく過ごすことや心が軽くなる第一歩に繋がれば・・・と、ご家族へ利用者様への声かけを促し、悲しみを表出できる場を作ることが自身の務めだと思っています。反対に、嬉しいことや心温まる瞬間もあります。看護師としても、母親としても尊敬できる利用者様のお宅へ訪問した際、血管確保がうまくできず、何度も失敗する私に、「大丈夫よ、何回でも良いから。」と笑顔で背中を押してくださったことがとても印象に残っています。看護を提供している側ではありますが、逆に利用者様の優しさに支えられ、何気ない会話に元気をいただいています。
日々大切にしていることは、生活背景や職業、家族構成、趣味など、利用者様自身を「知る」ことと、近すぎず遠すぎず、程よい距離感を保ちながら、利用者様の声に耳を傾け、心に寄り添うことです。これからの時代、ますます高齢化が進み、在宅医療の分野へのニーズが高まると思われます。一人でも多くの方が住み慣れた場所で生活ができるよう、一人ひとりに対して心を込めて看護を提供し、心の通う関係性を築いていきたいです。
※利用者様の許可を得て写真を掲載しています。