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2019.03.27 医療のお話

【TOPIC】 ANGIOGRAPHY アンギオグラフィー

カテーテル治療による救急医療の進化へ

 

微細な血管病変を高品位に描出 GE社製の新型血管撮影装置を導入しました

 米盛病院では、急性期医療に対応するためさまざまな装置を導入しています。カテーテルを血管内に挿入し、造影剤を注入することでX線により血管の様子を見ることができる血管撮影装置においては、既にハイブリッド ER と手術室に2台を設置。急性期脳梗塞やくも膜下出血、急性心筋梗塞などの1 秒でも早い治療が望まれる救急医療で幅広く活用し、カテーテル治療を中心に良好な成績を収めています。
 その一方で、救急搬送などによる重複した血管撮影装置の需要に対して、いつでも迅速に、かつフレキシブルにカテーテル治療を行うため血管撮影装置の増設が喫緊の課題でした。そこで昨年 11 月より、GE社のバイプレーン型新型血管撮影装置を追加導入し、専用の撮影室を設けました。
 新たに導入した装置は、X 線を高効率に画像信号に変換するフラットパネルディテクタを装備した血管撮影装置で、低被ばくで高画質を得ることができるほか、新しい技術を用いた 3D 画像にも対応しています。さらに、心臓の冠動脈のカテーテル治療に用いるステント(網目状になったした筒型の小さな金属製の部品)は、その繊細な構造により画像化が困難と言われていますが、本装置はそのような小さな部品においても専用の画像処理技術を搭載し、より良好な画像化を行うことができます。
 急性期脳梗塞やくも膜下出血においては、 これまで把握できなかった微細な脳血管を描出できることで、患者様により良い治療戦略を構築することが可能となりました。特に脳動脈瘤の代表的な脳血管内カテーテル手術であるコイル塞栓術においては、3D 画像により、脳動脈瘤の形や派生する重要な血管を術前に把握できるほか、充填するコイルの視認性に優れており、予後にも良い成績が収められるのではないかと期待しています。
 また、血管撮影装置に付属された画像診断モニター(ワークステーション)により、手術中に必要とされる CT や MR 画像を閲覧することができ、必要に応じて血管撮影装置の画像と CT や MR 画像を合成することで、それぞれの単独画像では得られなかった診断情報や、手術後の効果判定も可能となりました。
 この度、新たに導入した血管撮影装置は、当院におけるカテーテル治療をさらに充実させるツールになると考えております。
 これまで以上に、いざという時にお役に立てるよう、そして地域の皆様に安心を提供できるよう努めてまいります。


  • 冠動脈造影術頭部

  • 血管造影術 

  • 頭部血管3D像

 

安全性の向上に大きな期待

井上 泰豪 医師
専門分野:脳血管障害・外傷・IVR・集中治療
■日本脳神経外科学会専門医 ■日本救急医学会救急科専門医 ■日本集中治療医学会認定集中治療専門医 ■日本外傷学会専門医 ■日本脳卒中学会専門医 ■ ICLS インストラクター / ディレクター ■JATEC インストラクター ■日本 DMAT 隊員

 米盛病院の救急科では、脳血管疾患で救急搬送されてくる患者様の脳血管内カテーテル手術も積極的に行っています。この度のGE社製バイプレーン型新型血管撮影装置の導入により、カテーテル手術を要する脳血管疾患のさらなる治療時間の短縮、そして低被ばく量での X 線撮影などが可能になりました。2 方向から撮影することにより、患者様の体を撮影ごとに移動させる負担が軽減されるほか、同社が開発したワークステーション(画像診断モニター)により、単に血管造影を行うだけではなく、患部の詳細な解析が簡便に行えるようになりました。例えば治療に係る動脈瘤の形状や位置を手術の際に的確に把握できるようになるので、安全性の向上にも大きな期待ができます。
 今回の新装置導入により、当院で並行稼動できる血管撮影装置は合計 3 台になりました。これまで以上に多くの患者様に対応できるようになったことが、病院としても大きな強みになったと思います。

 

診療体制の改善に寄与

下髙原 淳一 医師
専門分野:虚血性心疾患
■日本内科学会認定内科医/総合内科専門医 ■日本心血管インターベンション治療学会認定医 ■日本循環器学会認定循環器専門医

 今回導入した本装置の強みは、患部を2方向から同時に撮影できることです。1回で撮影できる範囲が大きく広がることで、撮影回数も少なくて済みますし、さまざまな角度から細かく見られるのも大きなポイントとなります。血管造影剤を使う量も減りますので、患者様の体への負担を軽減できるのではないでしょうか。  現在、米盛病院に運ばれてくる救急の患者様は年々増加傾向にあり、カテーテル治療が必要な急性心筋梗塞や大動脈解離といった緊急性が高い症例も比例するように増えています。今回の新装置の導入によって、当院の救急初療室“ハイブリッドER”との並行運用が可能となり、予定治療と緊急治療を同時に行うことができるようになりました。導入前に比べて、よりフレキシブルな対応が可能となり、治療や検査が必要な患者様を待たせることも少なくなりました。  待ち時間を減らせるなど、診療体制が改善されたことも大きなメリットだと考えています。

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