SmaHapi(スマハピ)まわりの人たちの笑顔のために。緑泉会Webマガジン。

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2019.03.26 徒然音楽 解体新書

Vol.2 「シティポップ」

 近年、欧米諸国をはじめ世界各国でアナログレコードの人気が高まっており、日本でもソニーレコードが29年ぶりに自社生産を再開するほどの人気ぶり。国内では約30億円規模、アメリカにおいては、アナログレコードの売り上げは300億円規模にまで成長しています。そんな欧米で今、人気急上昇中なのが、レコード黄金時代である1970年代~80年代に日本で流行した「シティポップ」。
 シティポップの定義は極めて抽象的で感覚的なジャンルですが、広義では“1970年代後半~80年代に流行した都会的なイメージを前面に出したポップス”とされています。当時はAOR(Adult Oriented Rock)と呼ばれR&Bやソウル、フュージョンなどのブラックミュージックフレイヴァを含んだ楽曲のことを指し、シュガーベイブ、山下達郎、吉田美奈子、はっぴいえんど、細野晴臣、大瀧詠一などのアーティストが非常に人気を博しました。
 時は流れて、2000年代に入りシティポップ回帰の動きが始まり、新たに誕生したアーティストとともに「ネオシティポップ」なるものが登場しました。これまた、先代同様に感覚的なジャンルとなり、明確には定義されていませんが、メディアや評論家が発信した「これがシティポップ」だけに留まらず、個人の感じるシティ感も含めればかなり幅の広いジャンルになります。
 そんな中でオススメしたいアーティストがCERO。新世代シティポップの火付け役。まず彼らの特徴としてHIPHOP、R&B、SOUL、REGGAE、などのブラックミュージックにインスパイアを受け、音楽に対する実験を繰り返しつつ、アイデア満載の作品を作っています。
 細かい話はさておき、とりあえず聴いてほしいのは名盤1stアルバム「WORLD RECORD」。彼らの感性がフレッシュに表現されていて、過去のポップとは一線を画すCEROのシティポップたる所以を表現した1枚。
 そして2ndアルバム「My lost city」。1stから更なる深い部分に行きつつも、リリック・メロディを通してCEROの思惑通りの世界が映し出されていきます。
 そして3rdアルバム「Obscure Ride」。CEROの認知度が格段に上がった作品。過去のどのアルバムよりファンキーで、ベースが跳ね回っており、ブラックミュージックファンからの賞賛も多い1枚。
 このCEROの登場以降、シティポップブーム兼バンドブーム時代に突入していきます。こういうバンドもアリなんだということを世に知らしめたCEROの功績は偉大だと思います。
 こうしてみると、サンプリングや曲の構成などブラックミュージックのカルチャーやセオリーをベースにして、アーティストの感性で表現しているモノに「シティポップ感」を強く感じます。もちろん、現代においては都会感・街の情景という意味でのシティポップでもありますが…。
 というように、シティポップを語るとどうも長ったらしくなるので、百聞は一聴にしかずということで、ビートニク・まさる激選シティポップMIXは以下の通り。ストリーミングサービスでプレイリストでも作れば、オフの日のBGMとしてリピート間違いなし!!

 

  1.  New era/Nullbarich
     車のCMソングとしても起用されたこの曲。メンバーを固定せず楽曲ごとに違うメンバーで演奏することから、MVにはイメージキャラが登場する覆面バンド。繊細で日本人離れしたメロディとリリックが特徴。2018年10月7・8日に桜島で開催される一大フェス「THE GREAT SATSUMANIAN HESTIVAL」にも出演予定のアーティスト。アツい…。
  2.  Contact(TOSHIKI HAYASHI remix)/鈴木真海子
     メロウなトラックとゆるいラップで完全ノックアウトされるTOSHIKI HAYASHI remix。オリジナルはLO-FIに仕上げており、夜ver.という感じ。どっちもリピート確定の名曲。何より鈴木真海子が可愛い。
  3.  Climax night / Yogee new waves
     リリックは抽象的で理解しようと読むと「?」が浮かぶのに、裏打ちギターが特徴的なメロディに乗るとなんとなく分かったような気になる不思議な曲。シティポップのセオリー「都会的」とは一味違うんだけど、曲を通して違う世界に行けるバンド。
  4.  Summer Soul / CERO
     情景が浮かぶ曲TOP3に入ってくる名曲。MVと曲の相性が至高で、ビデオの中の大半が車中の映像なのだが、聴く時も是非夜のカーステで聴いてほしい。曲中のフルートはズルい! さすがネオシティポップの火付け役!
  5.  夜が明けたら/ LUCKY TAPES
     やや寂しげなリリックにトランペットがスロウにポップを醸し出すLUCKY TAPESの1stアルバム収録曲。彼らもブラックミュージックに影響を受けたバンドの1つ。2:38くらいからのブレイクがいい味出してる。
  6.  ユメマカセ/SOIL&“PIMP”SESSIONS
     2001年から活動しているインストジャズバンドで楽曲は都会の夜を連想させる。この曲はTBS系ドラマ「ハロー張りネズミ」の主題歌。RADWIMPSの野田洋次郎をボーカルに迎えた、おとなしめな作品。メンバーのタブゾンビは鹿児島出身で、「THE GREAT SATSUMANIAN HESTIVAL」の実行委員。フェスの方も是非チェックして欲しい。
  7.  HIT NUMBER(EVISBEATSとPUNCH REMIX)/おかもとえみ
     僕の大好きなラップクルー「PSG」と同じ板橋区出身の彼女、ノスタルジックな曲からキック強めな曲まで乗りこなす。この曲は奈良県出身のEVISBEATSとMICHEL PUNCHによるREMIX。オリジナルと聞き比べると、トラックメイカーの偉大さを痛感するはず。この曲でハマったら名曲「POOL」も是非聞いてほしい。
  8.  クロノスタシス/きのこ帝国
     フワフワ浮かんで行きそうな曲に、ささやくような声、ギターのリフが最高にチル! 誰もが経験したことある「クロノスタシス」を、好きな人との時間としてメタファーをかます、なんともテクニカルな作品。女性ボーカルが男性の立場で歌うことで、男の持つ小っ恥ずかしくて表に出せない感情が満載!
  9.  琥珀色の街、上海蟹の朝/くるり
     96年結成以来、アルバムごとに様々な音楽性を追求し作品をドロップしてきた、くるりの才能を見せつけた曲。ファンキーなベースの上にラップを乗っけつつ、メロディラインはぐぅの音も出ないカッコ良さ。安易だが一言で言うならエモい!!!
  10.  Summer vacation/sumika
     ここ数日テレビでも見かける機会が増えてきたけど、いい意味でも悪い意味でも器用すぎる彼らの作品の中で、一番好きな曲。ヘッドフォンのCM曲としても使用されており、MVが非常に印象的。
  11.  GAGA/Suchmos
     今さら感ハンパないけど、いかんせんカッコいいので。バンドでありながらサンプリングが得意な彼ら。この曲は1979年のthe wispersの“and the beat goes on”をサンプリングした一曲。オールディーズをシティポップに昇華した傑作。
  12.  Love’s on the way/Orland
     国内でトークボックスを身体の一部のように活かしきれるバンドといえばOrlandしかいない。80年代のちょっとムサい都会の雰囲気をまとったこの作品は、まさしくシティポップ! トークボックスを使えば、愛する人へのクサいセリフもすんなり言えちゃいそう!
  13.  ディスコの神様/tofubeats
     トラックメイカーとして成功を収め、テレビの音楽番組ではコメンテーターとして出演するtofubeats。色んなアーティストとの共演を果たしているが、この曲はお笑い芸人の藤井隆との楽曲。藤井隆といえばその昔「ナンダカンダ」でヒットを飛ばした男。tofubeatsとの化学反応は必聴!
  14.  Super star/Lucky Kilimanjaro
     「あなたの心を躍らせること」をコンセプトに曲を作るバンド。シンセサウンドとキャッチーなメロディとサビ前にミュートが入って、サビは絶対ジャンプしちゃう。おそらく九分九厘のリスナーが踊る。
  15.  多分、風/サカナクション
     ダンスミュージックとロックの狭間で他の追随を許さぬ独自の境地を見せてきたサカナクション。初っ端からのシンセとドラムの疾走感でヤラれた後は、ファンキーなベースに乗っかってどこか遠くへ行ってみてほしい。80’sフレイヴァを忘れず、ハートをくすぐる一曲。

 皆さんも「これぞシティポップ」と思える曲をディグってみてください。田舎に住んでも、心はシティ! では、また!!

 おやすみBGM いかれたBaby/フィッシュマンズ

(米盛病院院内広報誌:2018年夏号より)

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