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2019.09.09 Dr.畑の 焼酎入門

第3回 なぜ最近の芋焼酎は昔みたいに臭くない?

 皆様、こんにちは。米盛病院外科部長の畑です。焼酎マイスターDr.畑の焼酎入門も3回目になりました。前回の内容を覚えておられるでしょうか? 前回は「サツマイモの秘密」でした。サツマイモは日本本土では花を咲かせないので、品種改良するために近縁種の「アサガオ」に接ぎ木をして花を咲かせるのでしたね。だから、できた品種はその後も交配することなく遺伝子は均一。つまり、「クローン黄金千貫」や「クローン紅はるか」だったりするわけです。おかげで均一な品質が保てるわけですが、一方で危険も宿しています。それは病気が流行ると被害が大きくなることです。昨年、鹿児島のサツマイモが危機的な状況に陥りかけたと聞いています。農家の皆様も大変ですね。

 さて、今回のテーマは「なぜ最近の芋焼酎は昔みたいに臭くない?」です。芋焼酎好きの中には「最近の焼酎は飲みやすくなりすぎて面白くない」という人もいます。でも、なぜ最近の焼酎は「臭くない」のでしょうか? そもそも焼酎の「臭さ」の元って何なのでしょう? 昔の焼酎の臭さのことを業界の方は「芋傷み臭」と呼んでいます。原料の芋が傷んでいた結果の「臭い」なのです。芋はカビや雑菌や昆虫などの外敵に対して、体の中に抗菌・抗カビ作用や昆虫に対する忌避作用をもつ物質を作り出して対抗します。それが臭いの元なのです。それらの物質は「モノテルペンアルコール類(MTA)」と呼ばれています。そして、傷んだ芋の中にはMTAが沢山含まれており、それが焼酎に入ってくると、
「薬臭い」ような不快な臭いとなるのです。現在、全ての焼酎メーカーは芋選別の段階で、芋の傷んだ部分を徹底的に排除しています。多くの場合、これを人力で行っているので、本当に大変な作業ですね。こうした企業努力の結果、今やほとんど「臭い」芋焼酎はなくなりました。私としてはちょっと残念な気もしますが、時代の流れです。

 ところで皆様、最近変わった焼酎を目にしませんか? ライチの様なさわやかな香りを売りにしている焼酎です。こうした焼酎は「熟成した芋」を使っていることがあります。しかし、芋を熟成させると「芋傷み臭」が出るのではないでしょうか? 実は、「芋傷み臭」の元であるMTA類の中にライチやマスカットの様なさわやかな香りを持つものがあるのです。芋の性質を逆手にとって、わざと芋に強いストレスを加えて(熟成させて)MTAを沢山作らせた結果、なんとライチの様なさわやかな香りの焼酎が出来上がりました。メーカーは「傷ませる」とは言わず、「熟成させる」と言っていますが、理屈は同じです。メーカーの方に熟成方法を直接聞いてみたのですが、企業秘密であり教えてもらえませんでした。残念です。ただ、「熟成」には微生物は関わっていないとのことです。カビや菌ではないようですね。

 ぜひ皆様、ライチの香りのする焼酎をソーダ割りにして飲んでみてください。芋が苦しみぬいて作り出したライチの香、芋の気持ちになって飲んでみるのもよいかもしれません。まだまだ暑い日が続きます。さわやかな焼酎ソーダ割りで乗り切りましょう!

次号は「プリン体ゼロってどういう意味?」です。お楽しみに

 

焼酎マイスター Dr.畑 

米盛病院 外科部長 畑 倫明

焼酎と温泉をこよなく愛する外科部長。追求心が強すぎて、好きなだけでは飽き足らず、「温泉ソムリエマスター」に続き、このたび「焼酎マイスター」「焼酎唎酒師」も取得!

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