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2024.11.14(最終更新日:2024.11.14) お知らせ

NP(Nurse Practitioner)診療看護師という仕事

NP(診療看護師) 王子野 豊 看護師
当院入職9年目

 NP(診療看護師)とは、定められた教育課程を修了し、認定試験に合格した者で、医師らと連携・協働し、一定レベルの診療を行うことができる看護師です。当院でNPとして勤務する王子野豊看護師にその仕事について聞きました。

 

資格取得のきっかけ

 看護師の資格について調べていたときに、診療看護師(以降NP)という、認定看護師(※1)とは違う視点で、より幅広く医学的な視点も交えて患者さんに対してアプローチできる資格があることを知りました。入職以来ずっと超急性期であるICU(集中治療室)に所属していましたので、ICUを退出した後の患者さんが、一般病棟に移って退院するのか、もしくは回復期病棟に移ってリハビリ転院するのかがわかりませんでした。自分がICUで行っていた看護師としての介入が患者さんにどう影響を与えたのかということに興味がありましたし、入院してから退院するまで医師と一緒に患者さんと同じ時間軸で関われることに魅力を感じたのがNPの資格取得のきっかけです。

 

業務内容について

 現在の業務内容は、救急科の医師のチームに入り、医学的視点に重きを置きながら入院患者さんを回診して、症状をマネジメントするほか、侵襲のない心エコー検査等を行っています。また、看護師サイドにも立って、点滴管理や患者さんのポジショニングなどを病棟看護師に指導させてもらったりしています。
 「多職種間の橋渡し」についても自分のNPとしての業務テーマの一つにしています。
NPは幅広い業務を担っており、チーム医療においてキーパーソンになれる存在であることが期待されています。医師・看護師間だけではなく、薬剤師、管理栄養士、時にはソーシャルワーカーとも連携して転院調整に関わったり、リハビリスタッフと退院後のADL(日常生活動作)について話をさせてもらったりすることもあります。
 NPとしての勤務も半年が過ぎ、院内でもその存在が徐々に認知され始め、業務の幅もさらに広がっています。9月から本格的に開始したPICC(末梢静脈挿入型中心静脈カテーテル)もそのうちのひとつです。PICCを行うことで、患者さんは入院期間中何度も採血で針を刺さずに済み、感染率も下がることからメリットが大きい手技です。医師にバックアップしてもらいながら実施しており、自分の業務のメインになりつつあります。
 ICUを退出した患者さんを定期的にラウンドするCCOT※2(Critical care outreach team)の立ち上げもさせていただきました。看護師や理学療法士、臨床工学技士ら多職種が協力して実践しています。
 加えて、当院は今年度から看護師の特定行為研修(※3)の指定研修機関として運用を開始しており、そういった教育のフォローアップも、今後NPの役割として入ってくると考えています。

 

医師との連携について

 NP資格取得のための勉強から当院に戻ったのは4月。実質的にNPとして活動を始めたのが6月からですが、当時と比べると、環境がだいぶ変わりました。これまで医師しか行えなかった手技、例えば救急領域での動脈血採血や人工呼吸器の設定変更、気管カニューレの交換などを、医師の包括的指示のもと、実施できるようになりました。
 自分はNPになって新米なので、医学的知識は医師に教えてもらいながらやっているところですが、例えば同じチームの医師が患者さんのもとへ直接伺えないタイミングでは、「患者さんがこういう状態だったので、こういう病状管理が必要だと思います」という提案を医師にさせてもらっています。最近では「その通りにやろう」と同意してもらえることが増えてきたように思います。また、医師が行っている薬の処方だったり、診療情報提供書の作成だったり、そういった事務的な業務も医師の指示のもと代行しており、 医師の働き方改革が叫ばれている中、自分がどれだけタスクシフトに貢献できているかは分かりませんが、多少はお手伝いが出来ているのかなと感じています。

 

患者との信頼関係構築

 患者さんに「私はNPです」なんて言っても伝わりません。なので、一緒に回診に行ける時は必ず行くようにして、例えば、医師の説明の中でちょっと分かりづらそうなところは、自分が訪問した際に改めて説明させてもらったり、あるいはドクターカーで医師と一緒に出動して当院に救急搬送し、そのまま入院した患者さんに、「ドクターカーで搬送された時はこうだったけど、今はここまで回復してますよ」という話をさせてもらったりしています。患者さんも「そうだったんですね」みたいな会話からコミュニケーションにつながることがあります。患者さんと継続的に関わる、ということを意識しながら接するように努めています。

 

NPとしてのやりがい 

 患者さんがICUを出た後は、医師の目から離れる時間が多くなります。そういったことを踏まえて、現場スタッフにどのような指示や管理をしないといけないのかを考えるのはすごく難しいところですが、医師の手の届かないところに介入できることがNPのやりがいのひとつだと思っています。そこにもう少し頑張って足を踏み入れていきたいとは思っており、少しでも「ちょっと変だな」と思える患者さんがいたら、直接病室に行ってお話しをしたり、お顔を見たりするところは今後も心がけていきたいです。

 

NPとしての目標

 将来的な目標としては、5年計画で考えています。患者さんの疾患の段階、 超急性期から慢性期に入る段階に関係なく、一定してある程度のスキル・知識を持って介入できるようにしていくことです。そしてその患者さんのQOL(生活の質)向上のために、NPとしての役割を果たしていきたいです。
 直近の目標については、まずはNPとして当法人の職員にその存在と役割を認識してもらうことです。せっかくNPの資格を取らせていただいたので、需要があるところに可能な限り積極的に還元していきたいと思っています。
 そして、自分が患者さんと病院に何ができるのかを常に考えながら業務を全うしていきたいと思っています。

 

同じチームの医師らとの集合写真。
チームワークが重要

1:認定看護師とは、ある特定の看護分野において、熟練した看護技術と知識を有する者。(日本看護協会HP
2CCOTとは、集中ケアの訓練を受けた看護師らが主体となって、ICU退室患者と何らかの懸念のある入院患者を定期的にラウンドすること。(日本院内救急検討委員会HP
3:看護師の特定行為研修とは、看護師が手順書により特定行為を行う場合に必要とされる実践的な理解力、思考力及び判断力並びに高度かつ専門的な知識及び技能の向上を図るための研修。(厚生労働省HP

 

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