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2021.06.15(最終更新日:2021.07.15) Dr.畑の 焼酎入門

第12回 西洋はブドウと麦。日本はなぜこんなに多彩?

米盛病院の非常勤医師であり、焼酎マイスターの資格も持つDr.畑がお届けする鹿児島ならではの焼酎雑学。

 

皆様、こんにちは。
相変わらず新型コロナウイルスに振り回されている日々が続いていますが、皆様はいかがお過ごしでしょうか?

私の今いる病院は京都で最もたくさんの重症患者を受け入れている病院なので、優先的にワクチン接種を受けられました。

私の接種も3月中に2回目が終了し、今頃私の体内ではしっかり抗体ができているはずです。 さて、本連載はいよいよ3年目に突入しました。まだまだ焼酎の話題は尽きません。

 

今回のテーマは「西洋はブドウと麦。日本はなぜこんなに多彩?」です。

 

麹と酵母の役割

アルコール作りに関わる微生物の関わり

日本の酒造りに関わっている微生物は主に2種類、皆様よくご存じの「麹」と「酵母」です。それぞれの役割をご存じでしょうか?

麹はデンプンなどを糖に変える働きを持っており、酵母は糖をアルコールに変える働きを持っています。

つまり、麹と酵母の2つがあれば、ほとんど全ての炭水化物からアルコールを作ることが可能なのです。芋、米、麦、黒糖、蕎麦、しそ、栗…などなど、本当に日本のお酒は原料の種類が豊富なんです。

 

西洋の酒造り

一方、西洋の酒造りはどうでしょうか?
 実は、西洋の酒造りに関わっている微生物は酵母だけなのです。したがって、麹を持たなかった西洋では中世以前はブドウ糖からしかアルコールは作れませんでした。
だから、ぶどう酒(ワイン)なのです。では、麦から作るビールやウイスキーはどうなのでしょうか?

酵母だけでは麦のデンプンからアルコールは作れません。そこで、発見されたのが「麦芽」です。
麦は発芽するときにエネルギーを使います。そのエネルギーを得るために、貯めておいたデンプンを酵素(アミラーゼ)を使って糖に変えるのです。

それに気付いた人は本当に立派ですね。そして、アミラーゼを活性化させた「麦芽」を使うことで、麦のデンプンを糖(麦芽糖)に変え、酵母にアルコールを作らせることに成功したのです。

麹を発見してあらゆる炭水化物を糖に変えてアルコールを生み出した日本人、麦芽を発見して麦をビールやウイスキーに変えた西洋人。みんな、本当にお酒好きなんですね~(笑)。

 

本格焼酎の原料は多種多様!?

ところで、穀類や芋、黒糖などの主な焼酎原料以外に酒税法で本格焼酎の原料と認められている物はなんと49種類もあります。表に示しました。よく知らないものまで入っていますね(笑)。

(表)本格焼酎の原料
あしたば あずき あまちゃづる アロエ ウーロン茶 梅の種 えのきたけ
おたねにんじん かぼちゃ 牛乳 ぎんなん くず粉 くまざさ くり
グリーンピース こならの実 ごま こんぶ サフラン サボテン しいたけ
しそ 大根 脱脂粉乳 たまねぎ つのまた つるつる とちのきの実
トマト なつめやしの実 にんじん ねぎ のり ピーマン ひしの実
ひまわりの種 ふきのとう べにばな ホエイパウダー ほていあおい またたび 抹茶
まてばしいの実 ゆりね よもぎ 落花生 緑茶 れんこん わかめ

もちろん、表に記載されたもの以外から焼酎を作ってもかまいません。ただし、本格焼酎とは名乗れません。

最近、マツコデラックスさんがCMで宣伝している大隅の焼酎は「ジャスミン」を原料の一部に使っていますし、鹿屋のバラ園では「薔薇」を使った焼酎も売られています。美味しいですよ。
ぜひ、いろんな原料から造られている焼酎に挑戦してみてはいかがでしょうか?

次号は「焼酎粕は液体だった!?」です。お楽しみに!

 

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焼酎マイスター Dr.畑 

宇治徳洲会病院 救命救急センター長 / 米盛病院 非常勤医師 畑 倫明

焼酎と温泉をこよなく愛する医師。追求心が強すぎて、好きなだけでは飽き足らず、「温泉ソムリエマスター」に続き、このたび「焼酎マイスター」「焼酎唎酒師」も取得!

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