2023.05.11(最終更新日:2023.07.27)
第23回 黄金色の焼酎って素敵!
米盛病院の非常勤医師であり、焼酎マイスターの資格も持つDr.畑がお届けする鹿児島ならではの焼酎雑学。
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皆さま、こんにちは。宇治徳洲会病院救命救急センター長(兼米盛病院非常勤医師)の畑です。
つい先日、アルコールに弱い体質の人がアルコールを飲むとスキルス胃がんのリスクが高まるという研究結果が発表されました。アルコールに弱い方は、ご注意くださいね。
ちなみに、鹿児島県民のアルコール耐性遺伝子保有率は全国2位なので、あまり関係ないかもしれませんが…。この件に関して詳しくは第9回をご参照ください。
さて、今回のテーマは「黄金色の焼酎って素敵!」です。
焼酎の珍しい特徴
皆さまご存じの通り、焼酎は蒸留酒です。つまり、ウイスキーやブランデーの仲間です。数ある蒸留酒の中で焼酎が持つ珍しい特徴があります。
それは、「新酒」で楽しめることです。その点がウイスキーなどとは大きく異なります。コロナ禍で中止になったところが多かったですが、今年の秋には蔵ごとの新酒祭りが楽しめるかもしれませんね。
ウイスキーなども蒸留した直後は無色透明ですが、新酒で飲むと刺激が強くて飲めたものではありません。ウイスキーなどは、樽で熟成することでまろやかになり、色や豊かな香りが付いてくるのです。
では、焼酎も樽で熟成したら、ウイスキーなどのようになるのでしょうか?
焼酎を樽で熟成すると、ウイスキーのようになる?
答えはイエスです。ウイスキーなどのように内面を焦がした樫樽で焼酎を熟成させると、本当にウイスキーの様な色と風味が付いてきます。
最近、ちょくちょく「樽熟成」の焼酎が市販されているのを見かけますが、それらは、綺麗な「黄金(こがね)色」をしています。見た目にも美しく、美味しそうに見えますよね。飲んでみても、ちょっと華やかだったり、スモーキーだったりと普通の焼酎とは違う特徴を持っていて、私も大好きです。
しかし、なぜ、ウイスキーのように濃い色をしていないのでしょうか?
焼酎の色の秘密
熟成年数が足りないからだと思われるかもしれませんが、そうではありません。実は、焼酎の色は酒税法という法律で決められており、色が濃くならないように調整されています。
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ある程度以上、色が濃くなるとウイスキーなどと区別が付かなくなってしまいますよね。以前、焼酎とウイスキーなどは税率の差が非常に大きかった時期がありました。
その頃、樽貯蔵の焼酎も開発されたわけですが、ウイスキーなどと区別する必要もあり、焼酎の色(吸光度)に関する規程(濃くしたら焼酎とは名乗れない)が法律で定められました。
だから、黄金(こがね)色なのです。でも、私は今の黄金色もキラキラしていてむしろ好きですね。ウイスキーの様にならなくて良かったと思っています。
焼酎を樽で長期間熟成させた商品も
なお、焼酎を樽で長期間熟成させ、色が濃くなった商品も数は少ないながら販売されています。でも、その場合、焼酎とは名乗れず、「スピリッツ」や「リキュール」として売られています。良かったら探してみてください。裏のラベルを見ると、原材料名に「焼酎」と書いてあるはずです。
実は、結構なお値段なので長らく買うのをためらっていたのですが、今回、焼酎入門を書くため(?)に、清水の舞台から飛び降りる覚悟で(そこまでか?!)一本購入しました。めちゃめちゃ美味しかったです(笑)。
次号は「『原料用アルコール』って飲んで大丈夫??」です。お楽しみに!
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焼酎マイスター Dr.畑
宇治徳洲会病院 救命救急センター長 / 米盛病院 非常勤医師 畑 倫明
焼酎と温泉をこよなく愛する医師。追求心が強すぎて、好きなだけでは飽き足らず、「温泉ソムリエマスター」に続き、このたび「焼酎マイスター」「焼酎唎酒師」も取得!