2023.09.12(最終更新日:2023.11.02)
第25回 私この度、日本酒の唎酒師にもなりました! ~江戸時代から清酒に焼酎を混ぜていた!?~
米盛病院の非常勤医師であり、焼酎マイスターの資格も持つDr.畑がお届けする鹿児島ならではの焼酎雑学。
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皆様、こんにちは。宇治徳洲会病院救命救急センター長(兼米盛病院非常勤医師)の畑です。
私が今住んでいる町、宇治市は京都市の南隣にあります。宇治茶や10円玉の絵でお馴染みの平等院鳳凰堂などが有名ですね。そして、接している京都市の南の端が伏見区です。
さて、今回のテーマは「私この度、日本酒の唎酒師にもなりました!」です。
日本酒唎酒師の資格も獲得!
「伏見」は豊臣秀吉が城を構えた場所としても有名ですが、「灘」と並んで日本有数の酒どころでもあります。伏見の日本酒、「月桂冠」や「黄桜」、「松竹梅」など、皆さんも聞いたことがある銘柄ではないでしょうか? 焼酎マイスターの私としては、隣町が日本有数の酒どころと聞いて放っておく訳にはいきません。
そこで、今年の春に一念発起し、日本酒の勉強を始めました。その結果、先日、日本酒の「唎酒師」の資格も獲得したのです。いや~、日本酒も勉強してみると実に面白い。焼酎をよく知っているが故に、日本酒の面白さもよく分かるようになりました。
醸造用アルコールをご存じですか?
ところで、皆さんは日本酒ラベルの原材料表示に「醸造用アルコール」と書かれているものがあることをご存じでしょうか?
私は以前、醸造用アルコールと書いてあるのを見つけると、興ざめしたものです。「なんだ!?水増ししているのか?」と思っていたのです。
しかし、実際はそうではありませんでした。なんと江戸時代初期から続く伝統的製法の一つだったのです。アルコール度数を上げることにより酒の腐造を防ぐという目的で、昔から日本酒に醸造用アルコール(実は焼酎)を加えていたのです。
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もちろん、芋焼酎ではありません。米焼酎や酒粕から作った粕取り焼酎です。かつて、腐造を防ぐために日本酒に加えていた焼酎のことを「柱(はしら)焼酎」と呼んでいました。江戸時代の日本酒は今と比べると甘口でみりんの様なものであったことから、「味をシャキッとさせる」意味もあり、「柱(はしら)」と呼ばれたらしいです。
やはり、焼酎は素晴らしい!
香味調整のために
ところで、現代はほとんどが連続式蒸留焼酎(焼酎甲類)を醸造用アルコールとして使用している様です。戦後、安価な連続式蒸留焼酎を使用して酒の量を増やすようなこともしたため、醸造用アルコールのイメージはかなり悪くなりました。
しかし、腐造の心配がなくなった現代では、量を増やすのではなく、香味調整のために醸造用アルコールを添加しているのが一般的なようです。
インターネットで検索したところ、数は少ないですが今も昔ながらの方法で「柱焼酎」を造って使用している日本酒メーカーもありました。皆さんも探してみてはいかがでしょうか?
次号は「小笠原諸島にも芋焼酎︕︖」です。お楽しみに︕
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焼酎マイスター Dr.畑
宇治徳洲会病院 救命救急センター長 / 米盛病院 非常勤医師 畑 倫明
焼酎と温泉をこよなく愛する医師。追求心が強すぎて、好きなだけでは飽き足らず、「温泉ソムリエマスター」に続き、このたび「焼酎マイスター」「焼酎唎酒師」に続き、「日本酒唎酒師」も取得!