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2024.03.12(最終更新日:2024.05.21) Dr.畑の 焼酎入門

第28回 地理的表示(GI)『薩摩』とは?

米盛病院の非常勤医師であり、焼酎マイスターの資格も持つDr.畑がお届けする鹿児島ならではの焼酎雑学。

 

 私の住む京都府宇治市は皆様もご存知の通り「宇治茶」で有名なところです。
宇治茶の歴史は13世紀の鎌倉時代に遡り、16世紀には千利休が宇治茶(抹茶)で「茶の湯」を大成させ、18世紀には蒸した茶の新芽を焙炉(ほいろ)の上で揉み乾燥させる、画期的な「宇治製法(青製煎茶法)」もこの地域で生まれました。こうした歴史からも「宇治茶」のブランド力には絶大なものがあります。鹿児島もお茶の生産は有名ですね。霧島茶や知覧茶が有名なように鹿児島のお茶の生産量は日本一を常に争うレベルです。南さつまや霧島の茶畑の風景は本当に素敵ですよね。一方、京都のお茶の生産量はどの程度なのか皆さまはご存知でしょうか?
実は、京都のお茶の生産量は鹿児島の10分の1程度しかありません。ブランド力がいかに大切かがわかる良い例だと思います。

 

地理的表示(GI)とは

 今日のテーマは「地理的表示(GI)『薩摩』とは?」です。
黒千代香にお猪口のマークがそのシンボル。これは鹿児島産芋焼酎のブランド力を高めるためのものです。お酒で国際的に地理的表示が有名なのは、ボルドーのワイン、シャンパーニュ地方のシャンパン、スコットランドのスコッチウイスキーなど、皆様のよくご存知なものばかりです。歴史的には1851年にロンドンで開かれた万博でフランスワインが高い評価を受けた後、「シャブリ」などを騙る偽ブランドの安いワインがイギリスで出回ったことに始まるそうです。フランスとイギリスでは当時法律も違うので、フランス国内法ではどうすることもできず、国際的なルールが必要になったことが地理的表示(GI)始まりのようです。つまり、地理的表示(GI) とは、日本だけで決めているのものではなく国際的に守られるべきブランドということなのです。

 

地理的表示「薩摩」の厳しい基準

 薩摩焼酎も2005年に地理的表示「薩摩」を獲得いたしました。生産者を守りブランド力を維持するために、地理的表示「薩摩」の認証を受けるには厳しい基準が設けられています。「原料として、芋類は鹿児島県内(奄美を除く)で生産されたサツマイモのみを使用し、水は鹿児島県内で採取されたものを使用し、さらに鹿児島県内で単式蒸留法により蒸留し容器に詰めたもの」等々の基準があるのです。

 今日、皆様が飲む焼酎には、「黒千代香とお猪口」のマークがついていますか? 付いていなければ、薩摩焼酎ではありません。たまには容器の認証マークの意味などを考えながら飲むのもどうでしょうか? ただのマークではありません。鹿児島の生産者の努力の結晶がマークになっているのです。

 

次号は「泡盛はなぜ『泡盛』?」です。お楽しみに︕

 

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焼酎マイスター Dr.畑 

宇治徳洲会病院 救命救急センター長 / 米盛病院 非常勤医師 畑 倫明

焼酎と温泉をこよなく愛する医師。追求心が強すぎて、好きなだけでは飽き足らず、「温泉ソムリエマスター」「焼酎マイスター」「焼酎唎酒師」に続き、このたび「日本酒唎酒師」も取得!

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