2024.07.09(最終更新日:2024.09.12)
第30回 焼酎造りは錬金術だ!?
米盛病院の非常勤医師であり、焼酎マイスターの資格も持つDr.畑がお届けする鹿児島ならではの焼酎雑学。
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皆様、こんにちは。宇治徳洲会病院高度救命救急センター長の畑です。「焼酎マイスターDr.畑の焼酎入門」は今回が第30話です。すごいですね。スマハピは基本的に年間6回の発行ですから、少なくとも5年以上続いていることになります。驚きなのは「焼酎ネタ、どこまで続くの?」ってところでしょうか?
さて、今回のテーマ「焼酎造りは錬金術だ!?」ですが、皆様の錬金術という言葉に対するイメージはどのようなものでしょうか? あまり良いイメージではないかもしれませんね。何かずるいことをしてお金を生み出すかのようなイメージがあるかもしれません。辞書で調べると「ありふれた値打ちのないものを価値のあるものに作り変える術」という記載もありますが、私は決してサツマイモの価値がないなんて思ってはいません。若い世代の方はアニメや映画にもなった漫画「鋼の錬金術師(通称ハガレン)」から「錬金術」のことを魔法のようなものと思われているかもしれないですね。私も娘と2人でよくハガレンを見ていた頃が懐かしいです。
焼酎造りは錬金術だ!?
「錬金術」の本来の意味は、2000年ほど前のエジプトに始まった鉛などの卑金属を変性させて金を作り出そうとする技術(実際は不可能)のことです。また、中国では錬丹術とも言われ、不老不死の薬を作り出す技術(これも無理)のことでした。人間の飽くなき欲望の果てのような話ですよね。ならばなぜ私は「焼酎造りは錬金術だ」などと今回のテーマに書いたのでしょうか? それにはちゃんとした理由があります。それは、「蒸留」です。焼酎は醪(もろみ)に熱を加えてアルコール分を蒸発させ、蒸発したアルコールを再び冷やし液状化させて作った「蒸留酒」です。何百年も前からその方法は使われていますが、昔の人たちはどうやってその方法を見つけ出したのでしょうか?
焼酎を生み出した錬金術の技術
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皆様は考えたことがありますか? 一度沸騰させて消えてなくなったものを再び冷やして集めたら全く違うものが生まれてくるなんて、まるで魔法のようではありませんか? もうお分かりですね。実は、「蒸留技術」は錬金術から生まれたのです。金や不老不死の薬は生み出せなかったのですが、うまい焼酎を生み出すことができました! 人類が欲望を追求した結果、思わぬものを生み出したのです。錬金術師さん、ありがとう!!
錬金術師の話を書いたら、「ハガレン」を久しぶりに観てみたくなりました。ハガレンの冒頭の言葉、『人は何かの犠牲なしに何も得ることはできない。何かを得るためには同等の代価が必要になる。それが錬金術における等価交換の原則だ!』なんてカッコつけながら、焼酎お湯割り飲みたい! 笑
次回は、「二日酔いの原因は実は分かっていない?!」です。お楽しみに!
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焼酎マイスター Dr.畑
宇治徳洲会病院 救命救急センター長 / 米盛病院 非常勤医師 畑 倫明
焼酎と温泉をこよなく愛する医師。追求心が強すぎて、好きなだけでは飽き足らず、「温泉ソムリエマスター」「焼酎マイスター」「焼酎唎酒師」に続き、このたび「日本酒唎酒師」も取得!