2024.09.12(最終更新日:2024.09.12)
第31回 二日酔いの原因は実は分かっていない!?
米盛病院の非常勤医師であり、焼酎マイスターの資格も持つDr.畑がお届けする鹿児島ならではの焼酎雑学。
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先日、米盛病院が鹿児島県から「救命救急センター」として正式に指定されるというニュースが全国に流れましたね。おめでとうございます。ニュースが流れた日、偶然にも「日本臨床救急医学会」に参加するために鹿児島市内に滞在しており、米盛病院の仲間と喜びを共有することができました。
二日酔いの原因は実は分かっていない!?
さて、今回のテーマは「二日酔いの原因は実は分かっていない!?」です。そんなことないでしょう? という方々も多いかと思いますが、実はわかっていないのです。皆様は厚生労働省の「eヘルスネット」という健康情報サイトをご覧になったことがあるでしょうか? このサイトはアルコールに関わらず、さまざまな健康上のテーマを取り扱っていますので、お暇な時に訪問してみてください。今回のテーマ「二日酔い」についてもこのサイトで詳しく紹介されています。
「二日酔い」の原因はもちろん飲み過ぎですが、ではその原因物質はなんなのでしょうか? アルコールは代謝される過程で有害な「アセトアルデヒド(以下アルデヒド)」となり、最終的に無害な「酢酸」となった後、エネルギーとして使用されます。私はかつてこのアルデヒドこそ、二日酔いの原因だと思っていました。お酒に弱いといわれている方々はアルデヒド分解酵素の働きの弱い人が多いからです。しかし、それだけではどうしても説明できません。しかも、二日酔いの人の血液からアルデヒドがほとんど検出されないというのです。アルデヒドは原因ではないのでしょうか?
焼酎による二日酔いの症状
アルデヒドが直接原因ではない証拠はいくつもあります。アルコールの代謝産物であるアルデヒドが二日酔いの原因ならば、お酒の種類に関係なく、飲んだアルコールの量によって二日酔いの症状が決まるはずです。ところが、日本酒やワインの飲み過ぎによる二日酔いと焼酎の飲み過ぎによる二日酔いでは、症状が全く違います。かつて私が味わった日本酒やワインでの二日酔いは、頭がガンガンして際限なく嘔気が続き、本当に苦しいものでした。一方、私が鹿児島に来て味わった焼酎飲み過ぎによる二日酔いは、二日目もただ単に酔っているだけなのです(「良い歳をして飲み過ぎるな」と言われますが…笑)。やはり、醸造酒(日本酒・ワインなど)と蒸留酒(焼酎・ウイスキーなど)の違いは歴然です。蒸留する過程で醪(もろみ)側に残った物質に二日酔いの原因があるのかもしれません。やはり、酔い覚め爽やかな焼酎は素晴らしいお酒です。
なお、アルデヒド以外に原因として考えられているのは、
- 軽度の離脱症状
- ホルモン異常
- 電解質異常
- 炎症反応
- 生体リズム障害
- 胃腸障害
- メタノール
- その他の不純物
など。
恐らくこれらの合わせ技が二日酔いの本当の原因なのでしょうね。誰か研究してみてください!
焼酎の二日酔いにご注意!
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ところで、焼酎を大量に飲んだ翌日もまだ酔っている気がする場合、それは「気がする」のではなく、本当に酔っています! 単なる二日酔いではありません。血中アルコール濃度はまだ高いので、車の運転などは厳禁です! ご注意ください。 さて、今日はほどほどに飲むぞ!?(笑)
次回は、「韓国焼酎って何者?」です。お楽しみに!
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焼酎マイスター Dr.畑
宇治徳洲会病院 救命救急センター長 / 米盛病院 非常勤医師 畑 倫明
焼酎と温泉をこよなく愛する医師。追求心が強すぎて、好きなだけでは飽き足らず、「温泉ソムリエマスター」「焼酎マイスター」「焼酎唎酒師」に続き、このたび「日本酒唎酒師」も取得!