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2020.11.20(最終更新日:2020.11.20) INTERVIEW ~気になるあの方にお話聞きました~

洋菓子店 Pâtisserie Le Vert 代表 髙谷 浩史さん

地域の輝く方々を米盛病院の広報スタッフが取材。 お仕事へのアツい思いやモットーなどを伺います。
今回は、洋菓子店Pâtisserie Le Vert  代表 髙谷 浩史さんにお話を伺いました。

 

低糖質スイーツでみんな笑顔に

鹿児島市広木に洋菓子店「Pâtisserie Le Vert(パティスリー ル ヴェール)」を開業して7年目。
妻と二人三脚で店を切り盛りしています。低糖質にこだわり、ショートケーキは20種類、ホールケーキは6種類程、常時提供できるようになりました。レシピは50~60種類あります。

 

経営学部から料理の道へ

大学では、料理やスイーツ作りとは無縁の経営学を学んでいました。大学3年生のとき、I型糖尿病を発病し、既に決まっていた内定が取り消しに。なんとか就職先を見つけましたが、体調を崩して半年ほどで退職せざるを得ませんでした。

そんな人生に嫌気がさし、人に会うのも億劫になっていた頃、スキー場のバイトを見つけました。住み込みで清掃や雑務を担当していましたが、急遽スキー場のレストランに欠員が発生し、同年齢・同郷の料理長が自分に声をかけてくれたのがきっかけで厨房に入ることに。

共働きの両親のため幼い頃から包丁を握っていた経験があり、皆さんが喜んでくれる姿を見て、初めて料理の面白さを感じたことを覚えています。

 

0から始まったケーキ作り

低糖質スイーツのファンは全国に広がっている

スキー場の料理長の紹介で福岡のホテルへ就職しました。本格的に料理人人生がスタートしたのですが、料理を専門的に学んできた周囲との技術の差に思い悩んでいた時、製菓部門の料理長から声がかかりました。ケーキ作りは初めてでしたが、基本から丁寧に教えていただきました。

そこでも病気のことは隠していたので、体調はどんどん悪化して。誰にも言えずこっそりインスリン注射を打っていたため、注射や注射後の食事のタイミングを失うことも多く、よく倒れなかったなと思います。

その時、父親の具合が悪かったこともあって香川県の実家に帰ろうと決めました。これからどうしようと思っていた頃、実家の近くにある有名なケーキ屋で求人募集の貼り紙を見つけました。なかなか求人が出るようなお店ではないので驚きましたね。そのままレジに行き、次の日に面接を受け、なんと翌日から働くことに。

 

人生ってすごいなと

店での修行は楽しかったです。そんな矢先、ミキサーに手を巻き込まれ、ケガが治らなければケーキ屋を続けることは難しいと。人生ってこんなものかと崖下へ落ちた気持ちでしたが、知人の「ケーキは作れないかもしれないけど、ケーキ屋は出来るでしょ」という言葉で再び奮起。

いつか自身が思い描くケーキ屋を持つため、経営の勉強をしようと思い立ちました。大学での学びがここで役に立つとはと感じました。

早速、経営の勉強が出来る仕事を探し、コンビニのスーパーバイザーとして東四国支部のコンビニの経営を指導する仕事に就きました。当時奥さんは、南九州の店舗で副店長をしており、たまたま本社研修で出会いました。いろんな運命があるんでしょうけど、それまでの様々な点が繋がって、人生ってすごいなって思います。自分の人生なんですけどね(笑)

 

必ず誰かが助け船を出してくれる

ようやく順風満帆な日々が過ごせると思いましたが、そうはいきませんでした。ここでも病気が原因で退職せざるを得なくなり、「病気であることは絶対に言ってはダメなんだ」と痛感しました。経緯を知った奥さんが上司に話を通してくれ、南九州支部で働くことになり、鹿児島県民となった訳です。

振り返ってみると、もう無理だと思ったときに、有り難いことに必ず誰かが助けてくれて、次のステップへ進むことができました。だから、今度は自分も誰かの助けになりたいと思うようになりました。

 

低糖質スイーツの誕生

糖質量は4.1g。なんと一般的なショートケーキのおよそ10 分の1

オープン当初は普通のケーキ屋さんでした。糖質制限という言葉を知ったのは3年程前に出会ったお客様がきっかけ。病気で糖質制限をしているご友人へ贈りたいとリクエストしてくださいました。小麦粉・砂糖抜きのケーキは未知への挑戦で失敗の連続でしたが、クリスマス前に第一弾が完成しました。

そこで、自身の血糖値を測定しながら、完成品を食べてみました。インスリン注射を打たずに食べるのはやはり怖かったです。不安な気持ちを抑えて測定してみると、血糖値が上がらないどころか下がっていたのです!

今までの常識が崩れ世界が入れ替わったような、人生で一番の衝撃でした。その時、自分が病気になって、人生を辛く感じたこともあったけれど、全てはここに繋がっていたのだと思いましたね。

 

何百回と試作を繰り返す

砂糖を減らすために、当店では天然由来の糖アルコールを使用しています。合成甘味料ではなく、ハーブや植物由来の天然のものにこだわっています。

ただ、それらはケーキに使うには未知の材料で、参考データは多くありません。そのため、今までのケーキ作りの常識を一度なかったことにして、何百回と試作し続けています。失敗も含めて全ての経験が役立っていると思います。

 

笑いながら修行僧になる

低糖質とは思えない優しい甘みに、思わず笑みがこぼれる

お店のコンセプトは、「一緒に食べよう!」。私が家族と一緒にケーキを食べられたとき、自分だけでなく家族もとても喜んでくれました。病気がきっかけで大好きな甘い物を何十年も我慢されてきた方の笑顔や、嬉しさから思わず号泣される姿を見ると、苦労も吹き飛びますし、天職だと思います。

お客様の立場で考えると、糖質量は思っている以上にシビアなもの。命にも関わるため、責任感を持って管理しています。糖質については様々な考えがあると思いますので、押しつけではなく、多くの人が笑顔になれるような選択肢の一つになればと考えています。

もちろん、健康や美容を意識されている方にも美味しいと思っていただくことも大切です。そのため、「糖質量、美味しさ、そして値段」のバランスを常に考え、改良し続けています。

まさに修行の日々ですが、苦しいことがあってもニコニコ笑って、笑いながら修行僧になろうかなと思っています(笑)

 

病気を公表したきっかけ

病気のことを話すと、これまで順調だったものが壊れてしまう経験をしてきたので、言ってはいけないと思っていました。

公表したのは、1年半前です。同じI型糖尿病の中学生の女の子との出会いがきっかけです。ケーキ屋さんになる夢を病気で絶たれたその子が、当店の低糖質スイーツを通して再び夢を持ってくれたことを知りました。

自分も少しでも誰かの助けになれたのかなと感じ、悩んでいる人の助けや心が軽くなるきっかけになれたらと考え、病気のことを思い切って話すようになりました。

 

力を抜くのも頑張るってこと

商品の糖質量に関する質問にも応じる

両親からその昔、「力を抜くことも頑張るってことなんだよ」と言われたことがありました。
今、みんな頑張ろう頑張ろうとし過ぎているようにも感じます。そう思う時は、ちょっと力を抜くことも大切だと思います。
ふと甘い物が食べたくなった時は、息抜きをしつつ、ぜひ当店へお立ち寄りくださいね。

 

店舗情報

Pâtisserie Le Vert (パティスリー ル ヴェール)
鹿児島市広木3 丁目14-11
:099-204-0745
【営】10:00 19:00
【休】火 (※定休日以外の臨時休業のお知らせはFacebook 参照)

 

Profile

髙谷 浩史(たかや ひろし)さん
1973年、香川県出身。
松山大学 経営学部卒業。
2013年に奥さんの実家近くにお店をオープン。
休日の日課は、いつも支えてくれる奥さんがやりたいことを一緒にすること。

 

米盛病院 広報課スタッフ取材メモ

低糖質スイーツに込めた思いや、これまでの様々な出会い。取材予定時間を過ぎても聞き足りないと感じるほど、髙谷さんのお人柄に引き込まれていました。
取材中に伺った「力を抜くのも頑張るってこと」という言葉が、自身の心にも響き続けています。皆さんも、ほっと一息つく時間を大切にされてくださいね♪

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