2022.11.07(最終更新日:2023.01.13)
アーバン・ウェルネス・クラブエルグ 支配人 桑原 祐一さんインタビュー
求められるのは、何より元気を与えること
市民に愛されるフィットネスクラブ
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ERG(エルグ)は平成元年にオープンし、市民の方々に愛されるスポーツクラブを目指して30年以上、幅広い年齢層の方に楽しんでいただいています。
テニスやサッカーなどのスクールに通ってくれる子供さんもいれば、健康づくりのためにジムやスタジオ、プールを利用されるご高齢の方もおられます。オープン当時は会員さんの平均年齢は20歳代でしたが、今は50歳代です。健康意識の高まりもあり、シニアの方々のパワーを感じます。90歳代の会員さんもおられますよ。私が入社した25年前、既に会員になっておられた方で、当時もうおじいちゃんだったのですが(笑)、今でもお元気に通ってくださっています。
クラブ運営に加えて、県内の公共施設の管理運営を「指定管理者」として受託しており、西原商会アリーナ(鹿児島アリーナ)やジャパンアスリートトレーニングセンター大隅など、計7施設を管理しています。クラブに通って来られる方や、公共施設でスポーツを楽しむ方など、幅広くコミュニケーションを取ることができるので、いろいろと勉強になることが多いです。
お子さんからおじいちゃん、おばあちゃんまで
母校の鹿児島大学では教育学部で保健体育を専攻していたので、周りには教員を目指す人が多かったのですが、私は勉強したことを活かして子供からおじいちゃん・おばあちゃんまで、広く運動指導に携わる仕事に興味がありました。以前は鹿児島県内の病院で患者さんの運動指導などの仕事をしていましたが、ご縁があってERGで働くことになり、もう25年勤めています。
現在は支配人として、スタッフに助けてもらいながら運営の統括や企画業務などを行なっています。クラブで現場に立って指導にあたる機会はほとんどないのですが、行政や企業からのご依頼で、健康講話や転倒予防教室の講師を務めさせていただく機会を多くいただいています。
非日常的空間
フィットネスクラブは、お客様にとってはストレス解消の場であり、いわば非日常的空間。真冬でもレオタード姿でうろうろできるような場所です。科学的な指導ももちろん大切ですが、私たちに求められることは、何より元気を与えることだと思っています。個人としてもクラブとしても成長を続けて、私たち自身が「元気だね」と常に言っていただける存在でありたいと思っています。
ウエルビーイングな社会へ
WHO(世界保健機関)は、健康について「病気ではないとか、弱っていないということではなく、身体的にも、精神的にも、そして社会的にも、すべてが満たされた状態(ウエルビーイングな状態)」と定義しています。
お一人おひとりの健康をサポートすることに加え、地域の健康課題を解決していくために社会のシステムを変えたり作ったりしていくことも必要だと感じています。以前から取り組んでいる大学との共同研究や、最近多くなってきた企業や行政との連携を通じて、そのような機会に携われるポジションにいられることはありがたいと思っています。心身の健康だけでなく、社会的に豊かなウエルビーイングな生活が送れるような制度改革に貢献したいですね。
IT技術もどんどん進化して、これからDX(デジタルトランスフォーメーション)も進んでいくと思いますので、そういうものも活用していければいいな、と思っています。
「動機づけ」が上手な「人たらし」
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私たちの仕事は、一言で言うと「動機づけ」です。上手にお客さまの懐に入っていけるような「人たらし」でありたいと思っています。
スポーツをすることで満たされる欲求には競争・達成・克服・模倣・表現・健康づくり・リラクゼーションがあると言われていて、フィットネスクラブに通う目的は人それぞれです。目的が違えば動機づけの方法も違ってきます。
例えば「ベンチプレスで100kg挙げたい」という達成欲求がある方に、細かなフォームの指導をするよりも、「今日は○kg挙がりましたね!」とお声掛けして一緒に喜ぶことの方が満足度が高いかもしれません。人の懐にふっと入り込んで、寄り添って、うまく動機づけして、その中に科学的なエッセンスも落とし込んで指導できるようなスキルが要求される仕事です。
個人的にいつも意識しているのは、ご高齢の方々とお話する際には、親と話すつもりで話す、ということです。シニア世代の方々からは、若い頃は「孫と同じくらい」と言われていましたが、今はちょうど親子くらいの年の差。「お父ちゃん」「お母ちゃん」くらいの感覚でお話しすることで親近感が湧き、信頼作りにつながっていくことが多いように思います。
続けてくれることが喜び
大学の「社会体育実習」という職場体験のプログラムで、大学野球部でエースだった学生さんがERGに実習に来てくれたことがありました。その彼が私に「桑原さんですよね! 鴨池ドームで教えてもらったインナーマッスルのトレーニングを大学に入ってからもずっと続けています」と言ってくれたのです。
以前、プロ野球の千葉ロッテマリーンズのコーチから教わったトレーニング方法を、ERGが指定管理者として管理運営を行なっている鴨池ドームなどで高校生に教えていたのですが、彼も高校生の頃にその場に参加してくれていたそうです。
このエピソードに限らず、自分が伝えたことを長く継続してくれて「ありがとう」や「痛みが取れたよ」などと声を掛けていただけるのはうれしいことですね。
医療機関との連携
ドクターの一言って、ものすごく重いというか、とても強い動機づけになるものです。ドクターから運動を勧められた患者さんが、医療機関でのリハビリを終えた後も運動を続ける場として、ERGや指定管理している公共施設を活用していただけるといいですね。
そのためにきちんとしたプログラムをご用意して、リハビリが終わったら患者さんそれぞれのアクセスしやすいところで、楽しく運動を続けていただけるような流れを作っていきたいです。
桑原 祐一さん(くわはら ゆういち)
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アーバン・ウェルネス・クラブ エルグ 支配人
1969 年生まれ、薩摩川内市出身。
鹿児島県立川内高等学校卒業後、鹿児島大学教育学部保健体育科卒業。同大学院教育学研究科修了後、株式会社ニチガスクリエート「アーバン・ウェルネス・クラブ エルグ」入社。2021 年から現職。
アーバン・ウェルネス・クラブ エルグ
アーバン・ウェルネス・クラブ エルグのホームページはこちらから
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