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2019.03.26(最終更新日:2019.03.28) 医療のお話

災害の備え ― いざという時の為に ―

9月1日は防災の日です。

米盛病院では、地域の防災訓練に参加させていただいたり、今年度から災害対策室を設置したり、災害対策に積極的に取り組んでいます。国際緊急援助隊医療チームとしても活動している当院の救急医 にいざという時の備えについて聞きました。

 

『災害の備え』で一番大切なことは何でしょうか? 

 災害時の救助には『自助・共助・公助』と3つのタイプがあります。『自助』というのは自らの命・家族の命は自分で守る、ということ。『共助』というのはコミュニティ(隣近所あるいは職場)で助け合おう、ということ。『公助』というのは市町村・自衛隊・消防・警察といった公の組織が行う救助、ということです。
 一番大がかりな救助は『公助』です。救助隊は必ず助けに来てくれますが、問題はそれがすぐに来るとは限らないことです。東日本大震災の時、ある病院では4日間全く助けが来ませんでした。また、阪神淡路大震災で生き埋めになった方を誰が助けたかというと、自分で逃げ出した方が6~7割、友人・知人に助けられた方が3割、救助隊に助けられた方は1%でした。
 救助隊は重症の人を助けたり他の現場で活動をしたりするので、すぐに来ることができないかもしれないのです。ですから場合によっては数日間コミュニティで待機しないといけないかもしれません。
 災害の備えで一番大切なことは、『自助・共助』になると思います。

 

自助・共助とは具体的にどう行動する事でしょうか?

 『自助』では日頃から備蓄をしておくことが必要です。避難グッズも売っていますが、避難グッズだけを買っておけば良いかと言えばそうではありません。私もこれまで様々な被災地に行きましたが、公民館で避難している時に軍手やロープなどはあまり使い道がありません。では、何がいるのかというと日用品です。自分が公民館に2~3日間避難するとしたら、無いと困るだろう日用品を備蓄することが大事だと思います。
 備蓄以外では、家具をしっかり固定すること、備蓄できない貴重品は奥に仕舞いこまないことも大切です。
 それと、『共助』という部分では助け合いが必要です。隣の人はこういう人だというのを知っていれば、災害に遭ったときにコミュニティの中で互いに助け合うことができます。何日か救助隊が来なくてもコミュニティで一致団結し、助け合えるよう普段のコミュニケーションを大切にしていただければと思います。

 

被災時のケガの治療において気を付けたい事は何でしょうか? 

 気をつけたい事と言うよりは、病院からのお願いになりますが、救急医療と災害医療は違うということを知っていただけると有り難いです。
 日常で救急医療が必要な場合、救急車は119番を押せば7~8分で来ます。病院に運ばれたら医師や看護師などたくさんのスタッフが一人の患者さんを助けようとします。ところが大きな災害が起こったら大変多くの方がケガをされます。東日本大震災では、約2万人の方が亡くなり、何万人もの方がケガを負われました。この様に、災害時は医療の需要と供給のバランスが大きく崩れてしまい、全てのケガ人をすぐに治療することが難しい状況になります。
 災害医療をする医療従事者に教えられていることは、最低限の資源の中で最大限の人数を救うことです。医療スタッフの数、薬・酸素・点滴の数など、限られた資源の中で使えるものを有効に使い、助かる人を助けるためには、『トリアージ』が重要になります。

 

『トリアージ』とは何でしょうか?

 『トリアージ』とは、症状の緊急度と重症度から患者さんの治療に優先順位をつけることで、医療スタッフは患者さんに付けられたトリアージタッグの色で順番を判断します。色は4種類あり、赤(重症で救急処置が必要)、黄(重症だが少し治療を待てる)、緑(歩けるなどの軽症)、黒(治療を行っても助かる可能性が低い)で、赤→黄→緑→黒の順番に診ていきます。黒は診ないということではなく、あくまでも診る順番を決めましょうということです。トリアージは、限られた資源を有効的に使い、一人でも多くの方を救うための手段であることをご理解いただければと思います。

 

『トリアージ』は誰が行うのでしょうか?

 トリアージタッグを患者さんに付けるのは救急や消防の専門家におまかせ下さい。ですが、専門知識がなくても出来るトリアージがあります。たとえば、桜島が大噴火したとか、水害が起きたとかの災害の際に、公民館などのコミュニティに避難されると思います。今すぐに治療の必要がありそう、どの人が歩ける・歩けない、持病がある・ない、等で大まかにグループ分けしていただけると、そこに救急が来たとき、速やかにトリアージに当たれるので、我々医療スタッフは大変助かります。是非皆さんご協力のほど宜しくお願い致します。

 

備えておきたい日用品(例)

眼鏡

視力が低い方は、眼鏡が無いと手探りで行動しなければなりません。被災した時は大変困ります。いざという時の為に避難用の予備の眼鏡があると便利です。

靴(スリッパ)

家から急いで飛び出したら、目の前ががれきの山かもしれません、溶岩が流れているかもしれません。裸足だとケガをしてしまいますので、避難用に予備のご用意をお勧めします。

常備薬

災害時は、薬も足りなくなります。毎日欠かさず飲まないと命に関わる方、喘息などの発作時にすぐ薬を飲まないといけない方は、常に予備を携帯されると良いと思います。また、常用している薬を記したお薬手帳やメモ用紙があると、救援に入った医療班はとても助かります。

懐中電灯

ご家庭に1つはお持ちだと思います。電池が切れていると使い物にならないので、日頃から点検をしておきましょう。

(法人広報誌 2015年秋号より抜粋)

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