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2026.05.08(最終更新日:2026.05.08) 医療のお話

新たな一歩を支える医療 ~整形外科×心臓血管外科インタビュー~

新たな一歩を支える医療 ~整形外科×心臓血管外科インタビュー~

新たなスタートの季節です。当院を支える2人の外科医療の医師が、患者さんの「新たな一歩」に寄り添う思いをお届けします。

患者さんの前向きな日常生活への復帰をサポート

心臓血管外科 後藤 新之介 医師

 心臓血管外科部長として、心臓や大血管の手術を中心に診療を行っています。狭心症や心筋梗塞に対する冠動脈バイパス術、弁膜症に対する弁形成術・弁置換術、さらに胸部大動脈瘤や急性大動脈解離といった緊急性の高い疾患まで、幅広く対応しています。2023年に現体制となって以降、延べ200例を超える開心術を行ってまいりました。特に急性大動脈解離(A型)※は3年で54例を執刀し、多くの方の救命に貢献することができました。出水市や枕崎市、宮崎県の都城市などといった、救急車で2時間以上かかる遠隔地からの救急要請にも応じておりますが、全国平均を上回る安定した治療を提供することができているのは、当院の誇りと思っております。

ニュージーランドのオークランドシティ病院での研修中の1枚

 私が医師を志したきっかけは、高校生の頃に観た海外医療ドラマ「ER」でした。迅速かつ的確な判断で患者さんを救う外科医の姿に強く心を動かされ、「自分もこんな仕事がしたい」と思ったのが始まりです。外科系の中でも心臓血管外科を選んだのは、術者の技術や判断がダイレクトに結果へ反映される厳しさと、その分だけ大きなやりがいを感じたからです。大学時代にニュージーランドで経験した2ヶ月の実習では、世界標準の心臓血管外科医がどのような態度で手術に取り組んでいるのかを見ることができ、それが今の自身の心臓血管外科医像の構築に大きな影響を受けました。

 手術によって患者さんを治療することは心臓血管外科医としての使命ですが、私が本当に大切にしているのは、患者さんやご家族が前向きな気持ちで日常生活を送れるようサポートすることです。そのために心臓血管手術が必要であれば、メリットだけでなくリスクや代替治療についても丁寧にお話しして、十分に納得して治療を選択していただくことを心がけています。「ここで治療してよかった」と思っていただけることが、私たちにとって何よりの励みです。

 プライベートでは、サッカーやギター、自転車、キャンプなど多趣味ですが、最近の一番の楽しみは子どもたちとサーキットでカートを走らせることです。特に息子の成長には驚かされるばかりで、今では本気で走ってもなかなか勝てません(笑)。家族と笑い合いながら過ごす休日が、次の一週間への活力になっています。これからも仕事と家庭の両立を大切にしながら、地域の皆さまに信頼される医療を提供してまいります。

※心臓から出てすぐの上行大動脈の壁が裂けてしまうタイプ。原則として緊急手術が必要。

 

病棟を無風に保つため“守備的MF”を担う

整形外科 井上 三四郎 医師

 私は、外傷再建センターで、病棟管理を専任で担当しています。救急搬送で運ばれてくる患者さんは、予定手術とは異なり、十分な情報がそろわないまま治療が始まることも少なくありません。特に高齢の方は、重い持病や多剤併用(ポリファーマシー)を抱えていることが多く、適切な全身評価とリスク管理が必要不可欠です。

 私の役割をサッカーに例えるなら、守備的ミッドフィルダーです。その理想はマケレレロール※1です。整形外科医が手術という「オフェンス」に専念できるよう、他職種と連携しながら「ディフェンス」を行います。守備的ミッドフィルダーが相手の攻撃の芽を摘み取るように、合併症の芽を摘み取りたいと思っています。病棟というピッチを無風の状態に保つことが私の理想です。何も起きないこと=目立たない存在です。そのため、この役割を理解してくれる理事長、外傷再建センターの同僚、連携してくれるNP(診療看護師)※2、病棟で働くメディカルスタッフに感謝しています。これからも病棟という「ピッチ」を多職種で支えていきたいと思います。

 ここで、大腿骨近位部骨折についてお話をします。当院で日常的に治療を行っている骨折だからです※3。この骨折は高齢者に多く発生し、患者さんの約1割が1年以内に亡くなるという現実があります。この骨折は単なるケガではなく、老化という全身的問題の一側面です。ケガというよりも、むしろ病気なのかもしれません。だからこそ、その人の価値観や人生観に向き合うことが重要だと考えています。

 大腿骨近位部骨折治療における当院の強みは、高度な手術技術に加え、内科や麻酔科による迅速な術前評価、そしてメディカルスタッフとの緊密な連携体制です。さらに骨粗しょう症に対しては、専任のチームが介入します。今後も安全で質の高い医療に貢献したいと思います。また、連携医療機関の先生方におかれましては、引き続きご紹介いただければ幸いです。

井上らん。5歳。井上家のエースストライカー。 かわいさ、バロンドール。

 プライベートでは、愛犬と過ごす時間が何よりの癒やしです。そして温泉巡りもリフレッシュの源です。

 最後に一つ告白せねばならないことがあります。私がこれまで部活動として取り組んできたスポーツは、野球・ラグビー・登山であり、実はサッカーではありません。ご寛恕いただけますと幸いです。

1 フランス人の元サッカー選手の名前にちなんだ、守備的ミッドフィルダーの異名。派手さはないが、チーム全体のバランス維持に徹する役割のこと。
2 Nurse Practitionerの略で、医師の指示のもと一定レベルの診療ができる看護師。
3 2022年度:手術616例、保存25例 2023年度:手術541例、保存29例 2024年度:手術570例、保存33

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