2023.09.05(最終更新日:2023.11.02)
健診結果で見て見ぬふりをしがちな 脂質異常症
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米盛病院内科医 りん先生
(日本内科学会総合内科専門医) -
コレステロールや中性脂肪が異常値を示す「脂質異常症」。
健康診断で異常を指摘されても、「今のところどこも具合は悪くないから大丈夫だろう」と放置していませんか?
決して甘く見てはいけないコレステロールや中性脂肪。Sma Hapi の薬膳レシピコーナーでもおなじみの総合内科専門医・りん先生が解説します。
目次
まず健診結果のチェックを
脂質異常症とは、血液中の脂質代謝に異常が生じている状態のことです。
血液検査のLDL コレステロール、HDLコレステロール、総コレステロール、中性脂肪の値をもとに診断します。高血圧症と同様に、多くの場合、自覚症状なく進行して重篤な疾患を引き起こします。
まずはご自身の値をチェックしてみましょう。最近受けた健康診断の結果と上表を照らし合わせてみてください。
LDLコレステロールは「悪玉コレステロール」、HDLコレステロールは「善玉コレステロール」とも呼ばれます。
LDLコレステロールの増加、HDLコレステロールの低下は、動脈硬化を進行させます。さらにNon-HDLコレステロールは、中性脂肪を含めたいわゆる「悪玉」の総和の指標であり、これも動脈硬化の危険因子になると考えられています。動脈硬化になると心筋梗塞や狭心症、あるいは脳梗塞などの重篤な病気につながるリスクが高まります。
また、脂質異常症を引き起こす別の病気が隠れていることもあります。決して放置せずに医療機関を受診しましょう。
他の疾患が隠れていないか
他の病気により脂質異常が生じることを「二次性脂質異常症」と言います。代表的な原因疾患には、甲状腺の病気、腎臓や肝臓、糖尿病などがあります。
また他の病気の治療のために飲んでいる薬が原因で脂質異常を来すこともあります。問診や身体所見から、これらの病気が心配される場合は必要な検査を行い、異常が見つかればその病気の治療を行います。
心血管系疾患を防ぐ
受診時点で心血管系疾患(心筋梗塞や狭心症など)がないか確認します。もしあれば、速やかにその疾患の治療を開始します。心血管疾患がない場合は、将来的に心血管系疾患を発症するリスクがいくつあるかをチェックします。リスク要因として以下の項目があります。
- 年齢
- 喫煙
- 高血圧
- 低HDLコレステロール血症
- 耐糖能異常
- 早期冠動脈疾患の家族歴
リスクの数に応じて、LDLコレステロールの目標値を決め、生活習慣の改善や薬物療法を行います。
生活習慣の改善から
リスクが少ない場合は、食事の改善、体重の適正化、禁煙、節酒、適度な運動など、生活習慣の改善に取り組みます。数个月続けても改善がみられない場合は、薬物療法への移行を検討します。
コレステロールや中性脂肪は、血圧と同じく、異常があっても自覚症状がないことが多いため軽視されがちです。動脈硬化が進む前に生活習慣の改善や薬物療法等の対処をすることで、心臓や脳の疾患などにつながる危険性は低下します。健診で異常を指摘されたら、早めに医療機関へご相談ください。

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