SmaHapi(スマハピ)まわりの人たちの笑顔のために。緑泉会Webマガジン。

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2020.07.20 医療のお話

【特集】日常生活の中にも危険が潜む!家庭の「中毒」医学

監修 米盛病院医師 冨岡譲二

弊院救急科の医師で日本中毒学会認定クリニカル・トキシコロジストでもある冨岡譲二に、ご家庭で知っておきたい中毒症状とその対処法について聞きました。

ニコチン

 成人ではタバコ2本分、幼児ではタバコ半分で死に至る場合があります。ここで言うタバコの量は、水溶性である葉の中のニコチンがすべて溶け出した場合のことです。
 胃液の中ではタバコの葉からニコチンが溶け出すには時間がかかるため、仮にタバコを飲み込んでもすぐには症状が現れません。しかし、コーヒーの空き缶などを灰皿代わりにすると、その吸殻が水分に浸ってニコチンが溶け出すため、誤って飲んだ際には吐き気や嘔吐、頻脈、あるいはよだれを流したり、意識障害を来したりするような重篤なニコチン中毒の症状が出る可能性があります。特に小さなお子さんがいるご家庭では、タバコや吸殻の取り扱いには十分気を付けましょう。

 

対処法!

 子どもがタバコを口に入れてしまった場合、無理やり吐かせたりせず口からタバコをかき出しましょう。意識がはっきりしていて、よだれをたらすなどしていなければ、そのまま様子を見ても構いません。最近では電子タバコの液体などを飲んでしまう事故もあります。子どもの手の届くところにタバコを置かない、空き缶を灰皿にしないなどの配慮が最も大切です。

 

ボタン電池

 私たちの身の回りには、おもちゃやゲームを始め、時計、テレビやエアコンのリモコン、電卓など、ボタン電池を使っているアイテムがたくさんあります。特に小さなお子さんがいるご家庭においては、これらの器具を触って遊んでいるうちに、電池ボックスの蓋が外れたり、あるいは蓋を外して電池を取り出したりといったことがあるのではないでしょうか。ボタン電池の誤飲事故は2歳くらいまでに多く発生し、鼻に入れてしまう事故は2歳以上に多く発生しているようです。
 誤飲した際、消化器官に接触した電池から電流が流れると、消化管壁に潰瘍や穴が開くことがあります。交換後の電池や廃棄予定の電池の保管にも注意が必要です。

 

対処法!

 現在使われているボタン電池は、ひと昔前に比べると安全性は増していますが、体内で電流が流れて異常が起こる可能性はゼロではありません。飲んだ可能性があるときはX 線撮影ですぐに分かりますので、病院を受診しましょう。
 胃ではなく食道に引っかかると、食道は粘膜や壁が薄いので食道壁が傷む可能性があり、早急な処置が必要です。

 

ぎんなん

 秋の味覚・ぎんなんの食べ過ぎにも注意が必要です。中毒の原因物質は、ぎんなんに含まれるMPN(4- O- メチルピリドキシン)。MPNは、神経の興奮を抑える「GABA(ギャバ)」と呼ばれる物質を減少させる働きがあり、中毒を引き起こすと、けいれんや手足のまひ、不整脈、呼吸困難などの症状を引き起こします。
 発症時間は個人差があり1~12 時間と幅広く、まれに死亡例も報告されています。お子さんの場合、1度に7個程度の量でも中毒を引き起こす可能性がありますので、注意が必要です。

 

対処法!

 ぎんなんは古くから「年の数以上食べたら危ない」と言われています。特にお子さんが中毒を起こすと、熱を出さずにけいれんを起こすことがあります。その時は慌てずに救急車を呼びましょう。
 時々あるのが、焼鳥屋に子ども連れで行って、ぎんなんが美味しいからと保護者が気付かないうちに食べ過ぎて中毒を起こす事例。吐かせようと口の中に指を入れるのは大変危険ですのでやめましょう。

 

アニサキス

 サバ・イワシ・カツオ・サケ・イカ・サンマ・アジ…。私たち日本人が大好きなこれらの魚ですが、中毒を引き起こす「アニサキス」という寄生虫が寄生している場合があります。
 幼虫の大きさは2~3ミリで白い糸のような形をしており魚介類の内臓に寄生しています。アニサキス症には「胃アニサキス症」と「腸アニサキス症」に分かれ、症状としては自覚症状がない緩和型と、激しい腹痛や差し込み、嘔吐や吐き気を催すことがある劇症型があります。人間の胃の中での生存期間は4日程度と言われています。

 

対処法!

 生魚を食べて数時間から翌日頃に激しい腹痛を起こしたらアニサキス症の可能性があります。すぐに病院を受診しましょう。
 アニサキスは冷凍庫で2 日間程度置くか、あるいは加熱をすれば死滅します。アニサキスは魚の腸内にいるので、釣り等で獲った魚は腸をすぐに取り出すようにしましょう。

魚のトゲ

 水中を優雅に泳ぐミノカサゴ。その綺麗な模様でダイバーやカメラマンに人気がありますが、背びれを中心に毒があり、刺された場合は、激しい痛みとともに赤く膨れ上がったり、目まいや吐き気を引き起こしたりすることがあります。ほかにもアカエイやゴンズイ、オコゼ、オニカサゴなども体表に毒があるので素手でさわるのは絶対にやめましょう。食べて中毒症状が出るのはクサフグやハコフグ、イシガキダイ、アオブダイ、フエダイ、ハタなどです。見慣れない魚や食べたことがないような魚を釣った場合は注意しましょう。

 

対処法!

 釣りやダイビングなどで毒を持つ魚のトゲが刺さった場合は、手を浸けられるギリギリの温度のお湯(50℃前後)に刺されたところを浸けると痛みが軽減する場合が多いです。毒の成分はたんぱく質であり、それが熱で分解されるためです。
 痛みが引かない場合は、すぐに病院を受診しましょう。

 

どうしていいか分からない時はこちらへご相談下さい

米盛病院24 時間救急相談ダイヤル ♯7099
もしくは、公益財団法人 日本中毒情報センター「中毒110 番・電話サービス」
大阪 中毒110 番 ☎ 072-727-2499 24 時間 365 日
つくば 中毒110 番 ☎ 029-852-9999 9 時~21 時 365 日
https://www.j-poison-ic.jp/110serviece

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