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2019.03.26(最終更新日:2019.03.26) Dr.畑の 湯けむり紀行

第7回 「温泉析出物のお話」

 皆様こんにちは、米盛病院外科部長の畑です。『温泉ソムリエマスターDr.畑の“湯けむり紀行”』の連載も7回目となりました。季節は秋ですね。秋と言えば、芸術。そして、夜長。温泉に浸かりながら、なんとなく物思いにふけったりするのもいいですね。さて、今回は温泉析出物についてお話しします。
 温泉析出物と言えば湯ノ花ですが、いろんな種類があるようです。硫黄華、硫酸塩華、石灰華、珪華などの分類があるようですが、温泉分析表を見ても湯の花の成分は書いていません。ですから、温泉成分から類推する以外に方法はないのですが、私が大好きなのは「石灰華」つまり炭酸カルシウムの沈着です。炭酸カルシウムといえば、大理石や鍾乳石の成分です。温泉成分が徐々に析出し、鍾乳石のように硬くなります。それがたくさん浴槽の周りにくっついて、あたかも鍾乳洞の様になっている温泉が私は大好きなのです。「つらら」のような鍾乳石が1cm伸びるのにおよそ100年かかると言われています。一方、温泉は高温なので、元々炭酸カルシウムがたくさん溶けており、おそらく鍾乳石と比べて析出はものすごく早いと思われます。そして、温泉析出物は時に自然の芸術作品を生み出すのです。写真は妙見温泉の中にある「きらく温泉」さんの露天風呂。カルスト地形の一種、石灰華段丘そっくりですよね。中国にある世界遺産の九寨溝や秋芳洞の百枚皿の様です。でも、実際はずっと小さいものなので、いたずらして「コップのふち子さん」を置いてみました。あたかもドローンで撮影したかの様でしょう?
 さて、鹿児島近辺には析出物たっぷりの温泉がいっぱいあります。特に霧島の妙見温泉や安楽温泉はお薦めです。中でも私が大好きなのが安楽温泉の「鶴乃湯」さん。そして、私が最もすごいと思ったのが、垂水市にある「テイエム温泉牧場」さん。あまりにすごくて別の惑星に来たような感覚を覚えます。その他には、少し遠いですが、鹿児島と宮崎の県境を少し宮崎に入ったところの「湯穴(つあな)温泉」さんや水俣の湯之児温泉「昇陽館」さんの洞窟風呂も最高です。皆さんも温泉が作り出す芸術にぜひ触れてみてください。

次回は「美肌の湯」です。お楽しみに!

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