2022.09.02(最終更新日:2022.11.14)
クラウドファンディング支援者インタビュー アンター株式会社 代表取締役CEO 中山 俊さん
多くの支えあいの循環が 医療の発展につながる
米盛病院の存在から感じたこと
大学を卒業して鹿児島を離れたのは2011年なので、米盛病院のことは移転前の姿しか知りませんでした。ただ卒業してからは、鹿児島に帰省するたびに移転後の米盛病院の話を聞く機会がどんどん増えていきました。
整形外科医のキャリアを歩んでいた僕は、同科でこんなに大きな病院が鹿児島にできて発展を続け、郷土の整形疾患や外傷の診療の質がアップしていくのをすごく感じていました。
鹿児島だからこそ、変えられる医療
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「米盛病院のクラウドファンディングのお話は、前号で紹介された下甑手打診療所の齋藤学先生に教えていただきました」と中山さん
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僕自身が離島(奄美大島)出身ということもあり、医師が現場に駆けつけ一秒でも早く治療を開始することの重要性は理解しています。
今回、米盛病院のクラウドファンディングのお話を聞いたとき、そういった取り組みを継続し、時間や距離を越えて助かる命が増えることは、すごく大事だと感じていますし、明治維新の原動力となった鹿児島だからこそ、変えられる医療があるんじゃないかと思っています。
起業したきっかけ
医師として11年目になりますが、4~5年目の頃、専門外の患者さんを診る機会が増えてくる中で、どうしたら良いか不安になることがありました。
そこで、オンラインで医師間の情報が共有できたり、誰かが学んだ内容が共有されて現場で役立てられたりする仕組みができれば、より良い医療ができると考え、「Antaa(アンター)」を起業しました。
会社名に込めた思い
「Antaa」とはフィンランド語で「give(ギブ)」という意味。医療は基本的にギブファーストで、対価があるから提供するのではなく、困っている人がいるからするものだと思っています。
医師間も同じで、困っている医師や悩みを抱えている医師がいたら、そこに対していろいろな知見を提供していく。そういう循環が生まれると、医療界全体が良くなっていくと思っています。その「give」を最初にやっていこうという意味で、Aから始まる「Antaa」を会社名にしました。
現在、登録者は約5万人
2016年頃からサービスを始めましたが、最初は100人くらいの先生に会いに行き、登録してくれたのは数人(笑)。どうしようか考え、自分から先生方に「こういうことができます」と「give」する方向に変えてみました。
約100名の内科医に「24時間365日、整形外科関連の診療で困ったらラインください」とアカウントを伝えたところ、少しずつラインが来るようになり、常に5分以内の返信を心がけました。このときは常勤で臨床もやっていましたから、とにかく無我夢中でしたね。現在は20~30代の医師を中心に約5万人の先生方が登録しています。
みんなで医療を作る
いろんな人たちの支えあいの循環の中で、医療はどんどん良くなっていくと思いますし、鹿児島全体を良くしていくんじゃないかと思っています。
それがおそらく、病院がクラウドファンディングをやる意義でもあるのかなと思っています。医療者だけでなく地域の方々にも、みんなで医療を作っている、という思いを持っていただければと思っています。
中山 俊(なかやま しゅん)
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アンター株式会社 代表取締役CEO
鹿児島県出身。2004年ラ・サール学園ラ・サール高等学校卒業後、鹿児島大学医学部入学。卒業後、東京医療センターで初期研修。翠明会山王病院整形外科勤務(現在は非常勤)。2016年にアンター株式会社を創業し、医師同士の質問解決プラットフォーム「Antaa QA」、医師同士の資料を共有する「Antaa Slide」、医師が学べるオンライン動画サービス「Antaa Channel」などを運営。
アンター株式会社
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