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2023.07.05(最終更新日:2023.09.05) 医:医療のこと

気をつけたい!夏の中毒

【監修】 総合診療科 副部長 梅澤耕学

いよいよ本格的な夏が到来。海や山でのレジャーを計画されている方も多いかもしれません。
当院総合診療科の医師で、日本中毒学会認定クリニカルトキシコロジストの梅澤耕学医師に、安全に楽しく夏を過ごすために覚えておきたい、夏に多い中毒について話を聞きました。
※薬毒物中毒に関する十分な知識と技能を有する医師や薬剤師など幅広い職種を、単一資格で認定する制度

中毒とは・・・

「中」という文字には「あたる」という意味があるように、「中毒」とは「毒に中る(あたる)」ことを意味します。からだが対応できる基準を超えて、毒性を持つ物質が体内に取り込まれることで、さまざまな症状が生じます。

 

海で気をつけたい中毒

海で気をつけたいのが、クラゲやヒョウモンダコ、ウミヘビ、エイ、オコゼ、カサゴなどの生き物です。近年、ヒョウモンダコは全国各地に出現しており、注意喚起が出されています。実は私も、最近鹿児島県内の海岸でヒョウモンダコを目にし、身近な場所に危険が潜んでいることを改めて感じました。 

生き物によって応急処置の方法も異なりますので、今回は、クラゲに刺された際とヒョウモンダコに咬まれた際の対処法をご紹介します。

 

ヒョウモンダコに咬まれた場合

ヒョウ柄のような模様が特徴的なヒョウモンダコの大きさは10cm 程度。フグと同様に呼吸器麻痺を引き起こす強い毒を持っています。
症状は徐々に進行していくため、咬まれた際は焦らず速やかに病院を受診してください。

 

クラゲに刺された場合

クラゲに刺されたら、すぐに海からあがりましょう。
まず、クラゲの触手を取り除きますが、素手ではなくタオルや軍手を使うようにしてください。
次に、刺された部分を海水で洗うことが大切です。なぜ海水かというと、クラゲには毒針のような「刺胞」があり、刺激すると棘や毒が出る仕組みを持っています。真水は、この「刺胞」を刺激して症状を悪化させてしまうため、海水で洗う必要があります。海水を含ませたタオルで拭うのも良いと思います。

 

 山で気をつけたい中毒

これからの季節、キャンプを楽しみにされている方も多いかもしれません。夏になると、毒を持つさまざまな生き物が出てくるので注意が必要です。例えば、ハチや毛虫などです。ヘビにも注意しましょう。また、中毒とは異なりますが、マダニやヤマビルにも気をつけてください。

 

毒を持つ虫に刺された場合

最も注意すべきなのがアナフィラキシーショックです。じんましんだけでなく、息苦しい、お腹が痛いなどの症状が出るようであれば、すぐに救急車を呼んでください。
上記のような症状がなく、刺された箇所の痛みだけであれば、刺された部分を冷やし、市販の痛み止めを使用して様子をみましょう。気になる症状があれば、速やかに医療機関を受診してください。

 

ヘビに咬まれた場合

咬まれた箇所をきれいに洗い、腫れていないか確認します。腫れている場合は、毒ヘビに噛まれた可能性が高いため、すぐに医療機関を受診しましょう。
腫れていなくても心配な症状がある場合、医療機関へご相談ください。

 

 食中毒

気温や湿度が高くなると食中毒のリスクが増加します。細菌やウィルスなどが食品を通して体内に入り、腹痛や嘔吐、下痢、発熱などの症状が生じた場合には、脱水症状を防ぐため、水分をしっかり摂ることを意識してください。スポーツドリンクは糖分が多く含まれており、糖尿病の方など飲みすぎには注意が必要です。そのため、電解質が含まれる経口補水液が好ましいですが、飲みにくい場合は、スポーツドリンクをミネラルウォーターで半々に割るのがおススメです。

また、吐いてなかなか飲めない場合は、スプーン1 杯ずつでも口に含んで少しずつ飲むことを意識してください。小さなお子さんの場合も同様です。

 

意外な中毒

意外と知られていないのが植物の毒です。例えば、紫陽花の葉っぱや茎、花に毒があることをご存じでしょうか。触れても問題はありませんが、食べた量によって、嘔吐や痙攣、めまいなどの症状が生じることもあります。
小さいお子さんやペットが口に含んでしまった際は、すぐに口から出し、症状が出る場合は医療機関を受診するようにしてください。

 

夏を楽しく過ごすために

中毒という観点でみても、私たちの身近には、さまざまな危険が潜んでいます。心配になる方もいらっしゃるかもしれませんが、そのような危険があることや対処法を知っておくことで、危険を回避することができるかと思います。十分に注意して、夏を楽しみましょう!

 

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