まわりの人たちの幸せな笑顔のために。米盛病院WEBマガジン SmaHapi(スマハピ)まわりの人たちの笑顔のために。緑泉会Webマガジン。

SmaHapi(スマハピ)まわりの人たちの笑顔のために。緑泉会Webマガジン。

2024.07.03(最終更新日:2024.09.11) スポーツ応援プロジェクト

お邪魔しました!鹿児島南高等学校フェンシング部

 先日行われた鹿児島県高校総体で男女とも全種目でインターハイ出場を決めた鹿児島南高校フェンシング部。これまで4名のオリンピアンを輩出しており、今年行われるパリオリンピックでは、同部のОG・尾﨑世梨選手が団体戦メンバーに選出されています。
 今回は、同部の監督で鹿児島県フェンシング協会の強化委員長も務める大坪昭仁先生に、フェンシングの魅力や今後の抱負、そして当法人の職員派遣などについてお話を伺いました。

鹿児島南高校の令和5年度全国高等学校総合体育大会(インターハイ)の実績

●男子エペ個人:優勝 ●男子フルーレ個人:優勝、3位 女子フルーレ個人:3位 ●男子団体:準優勝

 

フェンシングの種目について

フェンシングには「フルーレ」「エペ」「サーブル」の3つの種目があります。

フルーレ:先に攻撃を仕掛けた側に攻撃権が与えられます。防御側が攻撃を阻止すると攻撃権が移動します。「攻撃→防御→反撃→再反撃」といった迅速な攻防や技の応酬が見どころ。胴体部分が有効面。

エペ:頭からつま先まで全身すべてが有効面。攻撃権がなく駆け引きが多い。初心者にわかりやすい種目。

サーブル:両腕と頭部を含む上半身が有効面。有効面への攻撃が突きだけでなく斬りもある。フルーレ同様に攻撃権がある。

 

全国でも屈指の強豪校

 鹿児島南高校フェンシング部は男子9名、女子10名の計19名で活動しています。ジュニア(中学生)から続けている子がほとんどです。
 鹿児島県は全国的に見ても強豪といわれる立ち位置にあり、大会では常に九州、全国を見据える状況にあります。県外から入学してくる生徒も多く、現在4名の生徒が下宿生活を送りながら通学しています。彼らが鹿児島南高校を選ぶ理由は、練習環境の良さにあるのではと思います。当校は体育科があり、練習時間の確保や練習内容の強度・質の高さを担保できます。フェンシング部のある公立高校が全国的に少ないのも理由の一つかもしれません。
 当部の練習ではフットワーク(下半身強化)を重点的に行っています。足腰を強化して試合時間内をフルに全力で動くためです。全国の強豪と比べてもかなりの時間を割いて取り組んでおり、とてもハードな練習内容です。
 練習時間は、基本的には6限目が終わる16時から18時半までですが、体育科に関しては、授業で部活に取り組める専門教育という時間割があります。毎週水曜と金曜がその日で、14時から練習をすることができ、恵まれた環境にあると思います。

 

醍醐味は心理戦

フェンシングの魅力は「相手とのだまし合い」。相手と駆け引きしながら攻撃したり守ったりするところがすごくおもしろいと感じています。あとは高速の動き。スピードがかなり速いので、自分が狙った動きでポイントが取れたりすると嬉しいですし、それがフェンシングの魅力です。一般の方が見ると早すぎてわからないかもしれませんね。やっぱりその速さの中で駆け引きするっていうのがフェンシングの醍醐味だったりするのかなと思います。

 フェンシングにおいては、メンタル面も非常に大事。少しでも弱気になると受け身になってしまいます。それは自分も現役時代に何度も経験しました。肉体的にハードな練習を乗り越えるのはもちろんですが、頭で考えながらやらないと強くなりませんし、そうすることで競った試合でも勝てる確率の高い戦術を選択できるようになります。そのために指導で心がけているのは、こちらから指示を与えるだけではなく、ディスカッションを行うこと。「あれをやれ、これをやれ」は簡単なんですけど、それではロボットにしかなりません。しっかりと自分で判断して自分で戦術を作り上げられるようにサポートしています。

 

選手それぞれの目標をサポート

目標については、生徒個々に応じて設定するようにしています。時には個別面談をして、日本一になりたいのか、日本代表になりたいのか、あるいは九州大会優勝に照準を合わせているのか、いろんな子がいろんな目標を持っていますので、それぞれの思いに寄り添う指導を心がけています。押し付けた目標を言っても多分何も伝わらないし、目指せないと思います。

 

髙田理学療法士の存在

顧問の大坪昭仁先生(右)と髙田理学療法士

 髙田さんとは出会ってから10年になりますが、トレーナーとしての考え方とかやり方、姿勢など学ぶことが多く、今となってはうちの部には欠かせない存在です。パリオリンピックに出場する尾﨑選手も、1年生の頃から3年間のトレーニング計画を立ててくださるなどすごくお世話になりました。新型コロナの影響で最後のインターハイは中止となりましたが、在学中に日本代表となり、世界で戦う選手に育ってくれました。選手1人ひとりに寄り添ってくれる髙田さんのことは私もすごく信頼しています。

声を掛け合いトレーニングに取り組む生徒さん

 髙田さんは最初の頃、フェンシングのことをご存じではありませんでしたが、少しづつ知識を積み上げ、我々が必要としているフェンシングに特化したトレーニングを考案されていきました。現在週に1回、練習に来ていただいています。髙田さんのトレーニングは決して楽な動きではありませんが、生徒たちは髙田さんのトレーニングのことを「TT(髙田トレーニング)」と呼び、ハードな中でもモチベーション高く取り組んでいるようです(笑)。
 今後も、髙田さんと協力しながら、日本一、日本代表、そして世界で活躍する選手を鹿児島から輩出していきたいです。そして1人でも多くの生徒が、自分の目標を達成できるようサポートしていきたいと思います。

 

髙田理学療法士は2014年から鹿児島南高校のフェンシング部トレーナーを務めています。現在は当院勤務の傍ら、週に1回同部で生徒さんの競技力向上とコンディショニングの担当をしています。

鹿児島南高校フェンシング部のみなさん

 関連記事

関連記事