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2021.06.03(最終更新日:2021.09.21) 医療のお話

からだにやさしい大動脈瘤治療|ステントグラフト内挿術ってどんなもの?

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血管外科 / 大動脈ステントグラフトセンター部長
山本裕之
【専門分野】 心臓血管外科、大動脈瘤・大動脈解離手術、大動脈疾 患低侵襲治療、血管内治療外科、大動脈ステントグラフト治療

新年度が始まり、健康診断を受診されることが多いと思います。まれに予期せぬ病気「大動脈瘤」(だいどうみゃくりゅう)が発見されることがあります。
もし発見された場合は、速やかに医療機関を受診する必要があります。
早期発見・早期治療を心がけましょう。
血管外科 山本医師に詳しく聞きました。

 

目次

 

症状がなく怖い病気「大動脈瘤」

大動脈は、心臓から出される血液を運ぶ体内で最も太い血管です。大動脈瘤は、血管の壁が弱くなり、自身の血圧によって大動脈が風船のように膨らんでしまう病気です。 

この膨らみが破裂してしまうと、お腹の中や肺のあたりに血液が流れ出て、体内で出血性ショックに陥り突然死につながる可能性もある恐ろしい病気です。 

しかし、破裂するまでほとんど特徴的な症状がなく、発見が難しい病気です。日本ではCT や超音波の検査が身近なため、別の病気で検査を受けたときや、健康診断で偶然見つかることが多い病気です。
動脈瘤が基準の大きさを越えている場合、手術が必要になります

 

大動脈瘤の治療法

大動脈瘤の治療には2つの方法があります。

 

人工血管置換術について

1つ目は、胸やお腹を切って、人工血管に置き換える人工血管置換術。この治療法は60 年程前から行われています。比較的若い世代の方であれば、この手術が第1 選択になります。 

一方で8090代の高齢者の方が、何らかの検査で偶然大動脈瘤が見つかり手術する場合、手術を受けることに対して躊躇されるケースがあります。これは、大動脈瘤は特徴的な症状がないため、手術の必要性について疑問を持たれるためです。 

「手術後にこれまでと同じ生活ができるか」「家族に迷惑をかけないか」と心配され、手術を希望されない方がいらっしゃいます。しかし、破裂してしまうと死亡率が80%90%となるため、破裂する前の早い段階で手術をしておきたい病気です。 

胸やお腹を切って行う手術では、70代くらいまでであれば、手術を乗り越えて元の生活にもどることが容易ですが、8090代の高齢の方は、呼吸機能の低下や心臓の併存疾患が心配されるほか、さまざまな病気を抱えている方が少なくなく、さらに手術による身体的負担により、退院できても術後の生活の質が低下してしまうことがあります。
そのため、なるべく体に負担をかけずに治療ができないかと生まれたのが、もう1つの治療法「ステントグラフト内挿術」です。

 

ステントグラフト内挿術について

カテーテルに収納されたステントグラフトは、患部に到達すると写真のように拡張する

ステントグラフトとは、人工血管(グラフト)に金属性のバネ(ステント)を縫い合わせたものです。 

治療方法は、折りたたまれたステントグラフトを収納したカテーテル(6 ~7mm 径の医療用の管)を、鼠径部(両足のつけ根を約3cm 切開)の血管から挿入し、患部に到達したらステントを拡張して大動脈内でその形状を維持させます。 

 

腹部大動脈瘤へのステントグラフト内挿術

お腹の大動脈の場合、その形状が「人」の字のようになっていますので、大動脈側と腸骨動脈側の3カ所で血液を動脈瘤内に流入させないようにブロックします。 

そうすることで血液が動脈瘤の壁に圧力をかけないようにし、動脈瘤が破れないようにします。やがて、動脈瘤は膨らんだ風船が萎むように小さくなります。 

 

入院期間について

ステントグラフト内挿術を行う山本医師

人工血管置換術だと、お腹を20~25cm切開しますので、身体に負担がかかります。2~3週間で退院できますが、退院した日から手術前と同じ生活を送ることは難しく、3カ月から半年くらいかけて、元の生活に戻っていきます。 

一方、ステントグラフト治療では、手術後の検査が必要なため1 週間ほど入院していただきますが、術後3日目くらいから時間を持て余している方もしばしばおられます。痛みは歩くときに足のつけ根がつっぱるくらいで、手術の翌日から食事も再開し、歩行できます。
身体への負担が少なく回復が早い点が、ステントグラフト治療のメリットで、入院期間も短縮できます。

さらに、痛みがゼロとは言いませんが、傷が小さく合併症が少ないのもポイントです。早期社会復帰も見込めますので、高齢者の方であればステントグラフトでの治療をおすすめしています。

若い方は手術に耐え得る体力のある方が多く、総合的な判断にはなりますが、人工血管置換術をおすすめする場合が一般的に多くなります。仕事の都合で長期間休職できないなどの事情があれば、ステントグラフトの長所短所を理解していただいた上で、その治療を選択することもあります。

 

患者様の病態やライフスタイルに合った選択をしていただくために、ステントグラフト治療に関する情報を分かりやすくご提供しますので、じっくりとご自身で判断いただければと思います。
ご質問などございましたら、お気軽にお問い合わせください。

 

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