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2023.10.31(最終更新日:2024.05.21) 医療のお話

ケガを予防してスポーツの秋を満喫

ケガを予防してスポーツの秋を満喫

山下学

監修: 山下学

整形外科 日本スポーツ協会公認スポーツドクター

 

目次

 

30~40代はアキレス腱断裂に気をつけて︕

アキレス腱断裂を頻繁に起こす競技は、急激な方向転換やジャンプを特徴とするテニスやバドミントン、サッカー、バレー、バスケなど、鹿児島県内でも競技人口が多い人気のスポーツです。

アキレス腱は年を重ねると徐々に老化していきます。コラーゲン繊維でできているため、だんだんと硬くなり、柔軟性がなくなります。
アキレス腱断裂の疫学的特徴の一つは、平均年齢が40歳であること。しばらくスポーツから遠ざかっていた方が、スポーツを再開した際に頻発します。

 

予防:アキレス腱の変性は定期的な運動で防ぐ

台上にかかとを出した状態で立ち、できるだけ高くかかとを上げつま先立ちになり、3秒程かけてゆっくり台より下に降ろす。

アキレス腱のストレッチ動画はこちらから

 

若い世代は要注意。

放置しがちな次のようなケガは、悪化すると競技生活に影響することも︕

 

足首のねんざ

靭帯が何らかの外力(関節にかかる無理な力)によって引き伸ばされて、切れたり痛めたりします。

予防:ねんざ予防のセルフテーピングでケガを未然に防ぐ。

ねんざ予防テーピングの動画はこちらから

 

腰痛(腰椎分離症)

多くは、体が柔らかい中学生の頃に、ジャンプや腰の回旋を行うことで、腰椎の後方部分に亀裂が入って起こります

予防:腹筋・背筋を強化して腰痛予防を心がける。

腰痛予防のストレッチ動画はこちらから

 

つき指

小さなボールを扱う球技では薬指や中指、大きなボールを扱う球技では小指、スキーでは親指によく起こります。

予防:つき指予防のセルフテーピングでケガを未然に防ぐ。

  • つき指予防テーピングの方法

 

スポーツドクターという仕事

スポーツドクターのケガの対応で最も重要なことは、治療の明確なゴール設定ができるかどうかということです。治療の原則は、確実な競技復帰と復帰時期の明確な提示。早期復帰を目指すことはもちろんですが、患者さんのリハビリ環境やサポートの存在の有無などによって、個別の復帰設定が必要です。

山下医師は鹿児島ユナイテッドFCのチームドクターも務める

プロサッカー選手に対する治療チームのメンバーを例にすると、医師、理学療法士、アスレティックトレーナーは欠かせません。鹿児島ユナイテッドFCではその他、鍼灸師の方がトレーナーとして在籍しています。
かつて(昭和生まれの私が学生の頃)は、痛みが取れたら、あるいは痛みがまだあるのに我慢して、すぐに復帰、というのがスタンダードでした。病院に行けば「休め」。痛みが減ってきたら「段階的に少しずつ復帰していこう」という根拠のないアドバイス。

令和時代のスポーツメディカルは痛みだけでは判断しません。アライメント(軸位)や柔軟性、原因動作・姿勢の改善などが重要で、コンディショニングやピリオダイゼーション※という言葉まであります。しっかりとした復帰プログラムや予防プログラムを立てる必要があるのです。

※目標とする試合などでベストパフォーマンスを発揮するために、年間のトレーニングを期分けして短期的・長期的にトレーニングの種類や強度を計画し、実施すること

 

山下医師【国際オリンピック委員会スポーツ医学認定証】取得

山下学医師が今年9月、「国際オリンピック委員会スポーツ医学認定証」(IOC diploma in sportsmedicine)を取得しました。
これはスポーツドクターのための国際的な公式認定です。

2021~22年に国際オリンピック委員会スポーツ医学コースを受講しました。
スポーツに関わる医学なので整形外科の分野がやや多いですが、脳震盪や大会救護、ドーピングやスポーツ栄養、循環器、呼吸器などについても学びました。講師陣は世界中のオリンピック帯同医師という豪華なラインナップでのオンラインコースでした。 

2年間、オンライン講座を受講し、その間2度の筆記試験に合格して、2023年4月に最終試験をカナダのカルガリーにて受験してきました(実技、筆記試験)。授業・試験は全て英語で行われます。
5月ごろに合格通知が届き、9月にスイスのローザンヌにあるオリンピック博物館にて卒業式が行われました。鹿児島県内では初の資格取得者だそうです(現在日本で50人ほど)。 

今回この認定を受けたことで、鹿児島から全国大会や世界へ羽ばたこうとしているアスリートにも安心して受診していただけると嬉しいです。

 

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