2025.03.03(最終更新日:2025.03.03)
米盛病院の脊椎外科治療|先進的な機器の導入で脊椎外科治療がさらに安全に
米盛病院の脊椎外科治療の取り組みについて、 当院副院長で整形外科の鈴木勝医師に話を聞きました。
術中の3D画像をリアルタイムに撮影
当院では、日本で初めて自走式の3DX線撮影機(モバイルCアーム)「CIARTIC Move(シアティックムーブ)」を導入しました。
これは、手術中に患者さまの体内を撮影する機械で、特に脊椎の手術でのインプラント(骨に埋め込み不安定な部分を固定したり変形した部分を矯正したりする金属などでつくられた器具)を入れる手術支援に大きなメリットをもたらしています。
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シアティックムーブによる術中撮影
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この装置はアルファベットの「C」の形をしており、手術中に患者さまの脊椎や関節の位置などをリアルタイムに撮影でき、正確な位置を確認しながら手術を進める必要がある場合などに使用します。
シアティックムーブは従来の装置と異なり、機械自体が多方向に自動で自由に移動することができます。
また、一度撮影した位置を記憶すると、ボタンひとつで記憶した箇所を再び撮影することも可能です。こうした機能は、操作するスタッフの負担を軽減することに一役買ってくれそうです。
さらにシアティックムーブは、手術室間を移動できるので、複数の手術室で手術中の3D画像をリアルタイムに撮影することが可能となりました。脊椎以外の手術でも、例えば骨盤外傷の手術で、骨折部分がしっかり整復されているかを見たり、関節周辺の細かい骨の状態を3D画像で確認できたりする点が大きなメリットです。
さらに、血管外科の手術などでも役立つため、幅広い診療科で活用できます。
脊椎の手術支援ロボット 「Cirq(サーク)」
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また、当院では九州で初めて、脊椎の手術をサポートするロボット「Cirq(サーク)」を導入しました。
このサークは、ナビゲーションシステム(※1) を使って、手術で使うスクリューを正確に配置するサポートを行います。
ナビゲーションで決定したスクリュー位置にロボットアームが正確に動いてガイドを固定してくれるので、そのガイド越しにスクリューを打つことができます。サークは首の骨(頚椎)の手術にも使用できるため、これまで以上に安全な手術が行えるようになると期待しています。
様々な手技や機器を活用し 最適な脊椎外科治療を実施
当院の整形外科脊椎チームでは、主に高齢の患者さまに対する低侵襲(体への負担が少ない)な治療法として、経皮的椎体形成術「BKP(※2)」やステントを使った「VBS(※3)」、内視鏡を使った手術なども積極的に行っています。

経皮的椎体形成術「BKP」
(※3)椎体形成術のひとつで、 BKP のようにバルーンで患部を膨らませた後にステント(筒状になった網目状の金属)を留置し補強してからセメントを注入する治療
また、事故やケガによる脊椎外傷や頚椎損傷の緊急手術にも対応しているほか、合併症を伴う脊椎疾患の治療も行っています。さまざまな治療方法を駆使し、新しい機器を活用しながら、患者さまお一人おひとりに最適な治療を提供しています。
2014年の移転開院から10年が経ちました。
その節目に、次の10年を見据えて、モバイルCアーム・ナビゲーションシステム・脊椎手術用ロボットといった医療機器をバージョンアップすることができました。
これらを活用し、今後も引き続き患者さまに良質で高度な医療を提供できるように努めてまいります。
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副院長 整形外科
鈴木 勝
専門分野:脊椎脊髄外科
脊椎疾患においては、首こり・肩こり・腰痛に、足や腕のしびれを伴った症状が続く場合、神経障害の疑いがあるため、早期に専門医による受診をお勧めします。
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