2023.05.02(最終更新日:2023.07.11)
プロゴルファー稲森佑貴選手に聞いた4つのルール ~稲森流 心身健康トレーニング~
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プロのアスリートが一線で活躍し続けるのには理由があります。
米盛病院が応援するプロゴルファー稲森佑貴選手にその「4つのルール」を聞きました。
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中日クラウンズ2022 優勝
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稲森 佑貴(Yuki Inamori)
鹿児島市出身。
自宅は鹿児島市内の練習場で、幼い頃から自然にクラブを握れる環境で育った。2011年、城西高校2年生の時にプロテストに一発で合格。14年に出場7試合で初シードを獲得。18年の「日本オープン」で初優勝し、自己最高の賞金ランク3位に。20年の「日本オープン」で2度目の優勝を果たした。22年には「中日クラウンズ」などで通算4勝目を挙げる。
フェアウェイキープ率7期連続1位を維持しており、「日本一曲げない男」の異名を持つ。
1.毎朝の体幹トレーニング
ゴルフで大切なことは毎日のトレーニングです。ただクラブを振るだけでは上手になりません。背中の可動域を広げたり、胸筋や背筋、下半身の筋肉を鍛えたりすることで、安定したスイングを生み出すことができます。
今回は、前述した筋力を強化・維持するために、私が毎朝必ず行っている20分間トレーニングの内容の一部をお教えします。
①1kgのダンベル(なければ水の入ったペットボトルでもOK)をその重さに任せるように左右に大きく振る。背中の可動域を拡げる。(左右10回ずつ)
②ボールをまたぐようにしゃがみ、うさぎ跳びのようにジャンプする。(10回)
③チューブを両手に持ち、胸の高さで左右に引っ張る。高さやペースを落とさないこと。(80~100回)
④体育座りになり、片方の足を伸ばし、ぐるぐる円を描くように回す(左右10秒ずつ)。
2.食事で心がけていること
野菜を必ず摂るようにしています。魚派ですが、それだけではパワーがつかないので、週に1回は焼き肉を食べるようにしていますし、毎朝必ず納豆やヨーグルトを食べるようにしています。あと、トレーニング後のプロテインは欠かせません。ラウンド中は朝食兼昼食なので、朝にしっかり食べて、昼はラウンドしながらチキンバーやゼリー飲料、プロテインを飲んだり食べたりしています。
選手によっては米やパンじゃないとダメという人もいますし、夕食は毎日焼き肉の人もいます。食べたいものを食べる選手もいれば、気を使って食べている選手もいますね。
地方での遠征が多いので、夕食はその地方のおすすめの物を食べに行きます。試合中は常に緊張感が張りつめていますので、夕食は大事なリラックスの時間です。
最近は三重県伊賀市の有名なしゃぶしゃぶ屋さんに連れて行ってもらい、あまりのおいしさに、同じ週の夜に再度個人的にも行きました(笑)。宮崎でも、地鶏を食べて釜揚げうどんを食べて最後にパフェを食べてとか。
野球やサッカーのように団体で動く競技ではないので、大学の先輩後輩とかの繋がりで一緒に行くことが多いですね。僕は現地で仲良くなったプロと一緒に行ったり、キャディーさんと行ったりしています。
時間に余裕がある時は外食しますが、時間がないときはお弁当などを買って部屋で食べます。次の日が午後スタートであれば、前日の夜はゆっくり食べることができますが、例えば翌日の朝7時半スタートだったら、睡眠時間を7時間確保するには、朝4時半に起きなければならないので、逆算して21時半までには横になりたいですね。そういう日は部屋でゆっくり過ごすようにしています。
3.メンタルのトレーニング
1つ目はメジャーリーガーの大谷翔平選手などがやっている“マンダラート”という方法。円の真ん中に目標(例えば賞金王)を書き、そのまわりに目標を達成するために必要なこと(賞金王になるためには何が必要なのか)を書き、さらにそのためには、何をすればいいのか(トレーニングの方法や食生活など)を書いていく。そうやって自分の目的を達成していく方法です。
また、最近取り入れているのは、冷静さ(cool)・幸福感(happy)・執着心(toughness)。ゴルフだけではなく、どのスポーツにも当てはまるかもしれませんが、いくら冷静な人でもボギーを打ったらその後の流れが悪くなるので、次のホールで意地でもバーディーを取ろうという心理状態になることがあるんですよね。スコアを取り戻したいという気持ちはありますが、そこは無理せず、とりあえずパーで一回気持ちのリセットをするように心がけて、終わった後の練習で、今日のミスのおさらいをするようにしています。
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試合によって会場が変わるので、同じシチュエーションで同じようなショットが出ることは二度とありません。「今日はこういうミスをしたから、そのミスを防ぐためには何をしたらいいんだろう」みたいな感じで振り返っています。ゴルフは極力ミスを少なくするゲームかなと思っています。
4.スポーツに励む中高生に向けて
個人競技、団体競技を問わず、「この人にだけは負けたくない」というライバルを作った方がいいかもしれません。あと、忖度ばかりじゃなくて、自分自身を表に出して全力でプレーすることも大事。日本人は結構シャイな部分が多いので、そういうところも必要なのかなって思います。
僕は、高2でプロになると夢見て、プロテストに受かりましたが、2~3年ぐらいは足踏みしていました。シードを取ったのが20歳くらいで、現在9年目になるんですけど、結構負けず嫌いな性格なので、暇さえあったら練習していましたね。
昔の方が練習嫌いでしたけど、当時はそこまでゴルフに対する理屈をあまり理解していなくて、とにかく再現性を高めて「あの時の良いショットと同じ球を打てるように」と半分機械化したような感じで練習していました。最近は色々なコースにも行くし、スタッフとクラブのフィッティングや重量なども検討して、そこから組み立てて、そして試合でとにかく試すということをしています。
練習で「いいな」と思ったら、とにかく思い切り試合で使ってみる。それで結果を残したら使えるクラブだってなる。練習のデータは、うまくいくのが当たり前で、失敗もないのであまり役に立ちません。試合になったら失敗も成功ももちろんあるので、成功率が高くなるかどうかって感じですよね。
話を戻すと、どの競技でも試合でとにかくやってみる、チャレンジしてみたほうがいいと思います。気になったことは、試合でトライした方が勝負に生かすために必要だと僕は思います。やっぱりやってみないと分からないので、やらずに後悔するよりやってみてと僕は思いますね。

稲森プロ「曲がらないショット」ワンポイントレッスン!

注目してほしいところ
もちろん複数回優勝を目標に頑張りたいと思っていますが、それに繋げるためにも、フェアウェイキープ率がまた更新できればいいかなと思います。
今のところ、自分自身でどんどん記録を塗り替えることができており、夢の80%まであと2%です。
フェアウェイキープ率は7年連続1位なので、区切りの良い10年連続で取れたら稲森佑貴賞を作りませんかみたいなことを冗談で言っていたら記事になっちゃいました(笑)。
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稲森プロが2022年シーズンに使用したゴルフクラブセットを寄贈してくださいました。米盛病院1階エレベーターホールに展示しています。

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