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2022.07.11(最終更新日:2022.09.05) 医療のお話

教えて!LEAD 下肢閉塞性動脈疾患

目次

 

「歩くと脚が痛い」「傷が治らない」は要注意

動脈硬化のイメージ

米盛病院では4月から、下肢閉塞性動脈疾患(LEAD※)に対する血管内治療にも対応しています。

LEAD の大部分を占めるのが「下肢閉塞性動脈硬化症」です。下半身の血管が動脈硬化(コレステロールなど血液中の脂質が動脈内にたまり、動脈の弾力性・柔軟性がなくなり、もろくなった状態のこと)によって狭くなったり詰まったりして、その血流が低下する病気です。

歩く際には、下半身の筋肉は安静時の10倍以上の血液を必要とするため、動脈硬化の影響を大きく受け、歩行時に脚が痛むなどの症状が生じます。

LEADの症状(フォンテイン分類)

病状が進行すると、一度に歩ける距離が短くなり(間欠性跛行/かんけつせいはこう)、さらに進行すると、皮膚の組織を維持し、傷を治すだけの血液供給が不足する状態になります。

できるだけ早期に治療を行うために、200メートル程度の歩行で脚が痛む、あるいは足の傷が2週間以上改善しないといった場合には、血流評価を実施した方が良いため、ご受診をおすすめします。

下肢閉塞性動脈疾患に対して、上半身の血管で発症するのを上肢閉塞性動脈疾患(UEAD ※)といいます。腕の血圧の左右差や頭痛、頭がクラクラするような症状、腕を動かすと重だるい感覚や痛み、しびれなどが生じる場合があります。

2022年に『末梢動脈疾患ガイドライン』が改訂され、下肢閉塞性動脈疾患はLEAD、上肢閉塞性動脈疾患はUEAD と称されるようになりました。従来から用いられてきた下肢閉塞性動脈硬化症(ASO)は、LEAD の大部分を占めるもので、動脈硬化性LEADとも表現されます。

心筋梗塞や脳梗塞のリスクも潜む

動脈硬化は全身の血管に等しく生じるため、LEAD の発症を認めた場合、同じ動脈硬化に起因する心筋梗塞や脳梗塞などのリスクも潜んでいると考える必要があります。これらの命にかかわる疾患を発病しないためにも、食事、運動、禁煙といった生活習改善や高血圧、 脂質異常、糖尿病の早期治療に努め、全身の動脈硬化の予防を心がけることが重要です。

 

治療方法と動脈硬化の予防について

下肢閉塞性動脈硬化症の治療には、大きく分けて「運動療法」「薬物療法」「カテーテル治療」「バイパス手術」があります。

運動療法

歩くことによって血流の改善を行います。間欠性跛行の治療法として期待されます(医師の指導のもとに行ってください)。

 

カテーテル治療

「腸骨動脈」という血管のカテーテル治療後の例。治療前、赤矢印の部分は細くなったり詰まったりしていましたが、治療により血流が改善しました。

手首や足の付け根の動脈からカテーテル(細くて柔らかいチューブ)を挿入し、詰まった血管を内側から押し拡げ、血流を再開します。挿入するデバイスとしてバルーン(風船)やステント(金属製の網状の筒)が用いられます。血栓(血のかたまり)が詰まり血流が悪くなっている場合は、カテーテルを用いて血栓を除去し、血流を再開させます。

 

バイパス手術

詰まったり狭くなったりした血管の先に新たな血管をつないで迂回路(バイパス)をつくり、血液の流れを確保します。

 

病気の予防

適度な運動(15分以上のウォーキングや軽い運動など)とバランスの良い食事、禁煙など生活習慣の見直しを心がけましょう。
LEAD の患者さまは、下肢だけでなく全身の動脈硬化が進んでいる可能性があります。脳血管疾患や心疾患の原因となるリスクが高いため、主治医のもと経過観察を続け、状態を把握しておくことをおすすめします。

 

医師のご紹介

循環器内科
重症虚血肢・心腎血管センター長
尾辻 秀章(おつじ ひであき)

  • 日本循環器学会循環器専門医
  • 日本内科学会認定総合内科専門医
  • 日本心血管インターベンション治療学会心血管 カテーテル治療専門医

【専門分野】PCI・EVT(末梢血管インターベンション)、循環器全般

 

与次郎米盛クリニック

  • 心臓・血管外来 月~木曜
  • 総合診療科 月~金曜(木曜 午後休診)
  • 整形外科 月~土曜

 

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