2022.09.08(最終更新日:2022.11.14)
その症状○○かも!?|間欠性跛行
-
少し歩くと脚に痛み・しびれがあり、少し休むとまた歩ける
その症状・・・
間欠性跛行(かんけつせいはこう)かもしれません。
原因によって治療法や診療科が異なります。
主な原因として、神経性と動脈性(虚血性) があります。気になる症状がある場合は、検査などで原因を見つけましょう!
神経性の場合
-
加齢などによる腰部脊柱管狭窄症(ようぶせきちゅうかんきょうさくしょう)が主に考えられます。
背骨の変形や椎間板の膨らみによって脊柱管(脳から延びている脊髄が通る空間)が狭くなり、神経が圧迫され血流が低下することで発症します。
Q:症状は?
足のしびれ、痛みのほかに、歩いていると足の力が入らなくなることもあります。また、トイレが近くなる、思うように排尿できない、便秘がひどいといった膀胱直腸障害も代表的な神経障害の症状です。前かがみになったり、座ったりすると症状が改善されるのが特徴です。
Q:治療について
神経周囲の血行を良くするお薬や疼痛を和らげるお薬を使います。リハビリテーションやコルセット、神経ブロック注射などで症状が改善することもあります。
神経障害が増悪して歩きにくいなど、日常生活に支障が出る場合は、手術療法(除圧術や固定術など)で神経の圧迫を取り除くケースもあります。
当院では、腰部脊柱管狭窄症の手術を年間約200件(2020年度)行っています。
Q:予防について
腰に負担をかける動作を避け、背骨を適度に動かすことが大切です。歩く姿勢や歩く時間、腰への負担など、足のしびれや痛みがひどくならない生活を見つけて上手にお付き合いすれば、歩けなくなる病気ではありません。
-
統括部長
整形外科 鈴木 勝
動脈性(虚血性)の場合
Q:症状は?
歩く時は、安静時の10倍以上の血液が下半身の筋肉に必要となります。そのため、動脈硬化(コレステロールなど血液中の脂質が動脈内にたまり、血管がもろなくなった状態)の影響をより大きく受け、脚の痛みなどの症状が生じます。
初期は、脚のしびれや冷たさを生じます。症状が進行し、脚に血液が行き届かなくなると、脚に治りにくい傷ができ、壊死(細胞が死んでしまう)して下肢の切断が必要となる場合があります。
Q:治療について
主に3つの治療法があります。
- 運動療法
歩くことで血流の改善を行います(医師の指導のもとに行ってください)。 - カテーテル治療
手首や脚の付け根からカテーテル(細くて柔らかいチューブ)を挿入し、詰まった血管を内側から押し拡げて血流を再開します。 - バイパス手術
血管の先に新たな血管をつないで迂回路(バイパス)をつくり、血流を確保します。
Q:予防について
動脈硬化が原因のため、生活習慣の見直しが大切です。閉塞性動脈硬化症の患者さまは、下肢に関わらず全身の動脈硬化が進んでいる可能性があります。そのため、心筋梗塞や脳梗塞などのリスクも高くなりますので、注意が必要です。
-
重症虚血肢・心腎血管センター長
循環器内科 尾辻 秀章