2023.07.18(最終更新日:2023.09.01)
血管造影装置を増設しました
目次
新たに導入された血管造影装置について
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6月に新たに導入した血管造影装置では、従来の機種より少ないX線量で、高画質の検査画像を得ることが可能となりました。
リアルタイムに血管の状態を映像化する機能により、カテーテル操作中のX線撮影回数を減らすことができるため、患者さまの負担を軽減してかつ効率的な治療を行うことができます。
また、医師が治療に集中できるよう、医療スタッフの導線が効率化された設計になっており、治療時間の短縮も期待できます。
血管造影装置とは・・・
血管造影装置は血管の状態を映像化しながら血管の検査と治療を同時に行うための装置です。造影剤と呼ばれる薬剤を患者さまの身体に注入しながら、X線を当てることで血管の状態を映像として映し、検査・治療を進めます。
当院の救急救命室や一部の手術室にも、検査と治療を同室で行うために血管造影装置が備えられています。
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血管造影装置は心臓に血液を供給するための血管である冠動脈や、下肢などの血管内治療の際に使われています。
新しい血管造影装置では、X線放射線量を抑えた少ない被ばく量で高画質の検査画像を得られるので、従来以上に患者さまの負担を軽減した治療を提供することができます。また、血管造影室が1部屋増えたことにより、今まで決まった曜日に行っていた検査・治療を、ほぼ毎日実施できるようになったため、入院期間の短縮と救急の患者さまを受け入れやすい環境になることが期待できます。
治療の他、日常的な症状へのお悩みにも対応していますので、心配なことや、お困りごとがありましたらお気軽にご相談ください。
「歩くと脚が痛い」「傷が治らない」は要注意
血管造影装置を使ったLEAD(下肢閉塞性動脈疾患)治療
LEADとは
LEADの大部分を占めるのが「下肢閉塞性動脈疾患」です。下半身の血管が動脈硬化によって狭くなったり詰まったりして、その血流が低下する病気です。
動脈硬化とは
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コレステロールなど血液中の脂質が動脈内にたまり、動脈の弾力性・柔軟性がなくなり、もろくなった状態のこと
症状の進行について
症状は以下のように4 段階に分けて進行していきます。(※フォンテイン分類による)
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初期 ・脚の冷たさやしびれを生じる 第2期 ・歩いたときに脚のしびれや痛み、冷たさを生じる。
・ 一定の距離を歩くと、脚が痛くなり歩けなくなるが、しばらく休むと、再び歩けるようになる。(間欠性跛行)第3期 ・何もしていない状態でも脚に痛みを生じる(安静時疼痛) 第4期 ・血液が行き届かなかった脚に治りにくい潰瘍(傷)ができる。
・壊死して下肢の切断が必要となる場合もある。
受診のタイミング
200m程度の歩行で脚が痛む、あるいは脚の傷が2週間以上改善しないといった場合には、血流評価のために受診をおすすめします。
治療
下肢閉塞性動脈硬化症の血管内治療では、「カテーテル治療」を行います。他にも治療法としては「運動療法」「薬物療法」「バイパス手術」があります。
○カテーテル治療
手首や脚の付け根の動脈からカテーテルを挿入し、詰まった血管を内側から押し拡げる、または血栓と呼ばれる血の塊が詰まって血流が悪くなっている場合は、血栓を除去して血流を再開します。
治療は2泊3日もしくは4泊5日の入院で行うことが多く、退院後は定期的に外来でフォローをいたします。
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◀「腸骨動脈」という血管のカテーテル治療後の例。治療前、矢印の部分は細くなったり詰まったりしていましたが、治療により血流が改善しました。
○運動療法
医師の指導のもとで、歩くことによって、血流の改善をおこないます。間欠性跛行の治療法として期待されます。
○バイパス手術
詰まったり狭くなったりした血管の先に新たな血管をつないでバイパスと呼ばれる迂回路をつくり、血管の流れを確保します。
循環器内科のご案内
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循環器内科では、心臓の血管や他の血管、心臓そのものに生じる疾患を対象に治療を行っています(狭心症、心筋梗塞、不整脈、弁膜症、心筋症、心不全、閉塞性動脈硬化症など)。主に、カテーテルを駆使して、詰まったり、狭くなったりした血管を内側から押し拡げて血流を再開させる治療や、不整脈の根治治療などを行っています。
心臓血管外科医、血管外科医、その他の多職種スタッフと共同して治療方針を協議し、症状やライフスタイルにあった治療方法をご提案しています。
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