2022.09.05(最終更新日:2022.11.07)
片側顔面けいれん|放っておけない!日常生活のつらい症状
米盛病院脳神経外科では、脳卒中や頭部外傷、脳腫瘍などの治療だけでなく、脳神経が圧迫されることによるつらい症状に対する治療も行っております。
今回はその代表的な疾患のひとつ、片側顔面けいれん(へんそくがんめんけいれん)について解説します。
目次
片側顔面けいれんとは?
「片側顔面けいれん」は、顔面の動きを司る顔面神経が脳の血管に圧迫されることにより、片側顔面にぴくつきが起こる病気です。
症状について
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症状の現れ方は、目の周りのぴくつきから始まり、口角のひきつりへと進行するのが最もよくみられるパターンです。人前などで緊張すると、いつもよりひどく症状が現れます。
けいれんの回数が増えると、まぶたがいつも閉じている状態になってしまい、日常生活に支障を来してしまいます。また、けいれん側に強い肩こりがある方が多いようです。けいれん側の耳の聴覚異常(音が響くなど)を訴える方もおられます。
必要な検査
このような症状がみられる場合は頭部MRI検査を行い、顔面神経圧迫の状態を確認します。
治療について
治療方法は、ボトックスという薬を顔面の筋肉に注射する治療と、手術治療があります。
- ボトックスを顔面の筋肉に注射する治療
ボトックスは美容形成科で顔面のシワとりにも使われている薬で、片側顔面けいれんを3~4ヶ月抑える効果があります。治療効果が短いため、根治治療を希望される方には手術治療の選択肢があります。 - 手術治療
手術治療では、耳の後ろの髪の生え際あたりを、できるだけ傷跡が目立たないように小さく切開して頭蓋骨に小さな穴を開け、顔面神経を圧迫している血管を移動させ、顔面神経から離します。
脳血管の形状や数には個人差があり、場合によっては血管を移動させることが難しいこともあります。この場合は、血管と顔面神経の間にクッションを挿入する方法を選択します。
- 入院期間
手術治療を行う場合の入院期間は7日程度です。 - 合併症
この治療の合併症で、治療を行った部位と同側の耳の聴力低下が生じる場合があります。そのため、手術の際にはABR(聴性脳幹反応)という聴神経のモニタリングを行いながら、聴神経へのダメージを早期に察知し聴力低下を予防するよう注意を払っています。
米盛病院 脳神経外科について
片側顔面けいれん以外にも、脳血管の圧迫によるつらい症状が現れる疾患として、三叉神経痛(SmaHapi Vol.30(2021年9月号)参照)、舌咽神経痛などがあります。
顔の痛みやぴくつき、視力や聴力の低下などの症状でお悩みの方は、当科へご相談ください。
医師のご紹介
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脳神経外科 脳腫瘍センター長
祝迫 恒介(いわいさこ こうすけ) -
日本脳神経外科学会 脳神経外科専門医 ほか
【専門分野】
良性脳腫瘍手術・脳動脈瘤血管障害の開頭手術・三叉神経痛・顔面痙攣などの機能的外科手術

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