診療科案内

脳神経外科

脳神経外科

当科は2013年より伊地知寿医師が頭部外傷から脳卒中まで幅広く診療しており、2019年4月には脳血管内治療センターを立ち上げ、同年に第1回一次脳卒中センター(PSC)の認定を受けています。
2021年度からは急性期脳梗塞に対する血栓回収療法の実施医を増員し、脳神経外科当直と併せて脳卒中診療の更なる充実を図っています。また、開頭手術部門では祝迫恒介医師の就任により更なる充実を得て、脳腫瘍や神経血管減圧術(顔面痙攣や三叉神経痛)などを含め、診療範囲を更に拡充しております。
2023年には波多野勇人医師が着任、現在は常勤3名体制で脳血管障害、脳腫瘍、頭部外傷を中心に、幅広い疾患の診断・治療を行っています。
24時間365日体制で救急対応を行い、急性期の治療から慢性期のフォローアップまで一貫した医療を提供しています。

 

脳血管障害(脳卒中、脳動脈瘤、頸動脈狭窄など)
  • 日本脳卒中学会認定の一次脳卒中センター(PSC)として、脳梗塞、脳出血、くも膜下出血などの脳卒中に対する迅速な診断と治療を行っています。
  • 近年注目を集めている急性期脳梗塞の治療においては、tPA静注療法や血栓回収療法を速やかに実施できる体制を整備し、県内の救急隊のみなさまにも当院への搬入前から迅速かつ適切な情報提供をいただくなど多大なご協力をいただきながら、ガイドライン等で推奨される治療開始時間を上回り、迅速な治療開始を実現しています。
  • 頚動脈狭窄病変や慢性的な脳虚血病変(動脈硬化性閉塞疾患、もやもや病など)については、頸動脈内膜剥離術(CEA)、頸動脈ステント留置術(CAS)、直達血行再建術(開頭直接バイパス術・間接バイパス術)といった血行再建術も常時行っております。
  • くも膜下出血の原因の約9割を占める破裂脳動脈瘤に対しては、再破裂予防のためネッククリッピング術(開頭手術)や脳血管内治療(カテーテル手術)のどちらかを実施することとなります。当院ではいずれの治療も迅速に行える体制を24時間整えております。
  • 脳ドックや健診などで見つかる無症状の未破裂脳動脈瘤については、MRI/MRA、脳血管撮影検査(カテーテル検査)により動脈瘤の大きさはもちろん、その形態や周囲の血管との関係性などを見極め、開頭手術が良いのか、カテーテル手術が良いのかをそれぞれの専門医の立場から検討し、最適な治療方針をご提案しています。
  • 脳出血については、血腫の大きさや位置などによっては緊急手術が必要な場合があります。その場合は救急科・麻酔科等と連携し、いつでも開頭手術を行える状況を整えています。
  • 脳出血やくも膜下出血の稀な原因として、脳動静脈奇形や硬膜動静脈瘻など、複雑な血管病変が背景に存在することがありますが、周囲血管との関係性を十分に見極め、脳血管内治療(カテーテル治療)や開頭手術、また放射線治療を組み合わせた最適な治療を実施しております。




脳腫瘍・機能性疾患(脳腫瘍、三叉神経痛、片側顔面痙攣、水頭症など)
  • 良性・悪性を問わず、脳腫瘍の診断・治療を専門的に実施しています。
  • 髄膜腫、聴神経鞘腫、海綿状血管腫、脊索腫、軟骨肉腫、頭蓋咽頭腫、血管芽腫など、多様な腫瘍に対し、手術や薬物療法を適切に組み合わせた治療を提供します。
  • 患者さんの病状や腫瘍の種類、位置等に応じて最適な治療方針を検討し、安全かつ効果的な治療を行うよう心掛けています。
  • さらに、三叉神経痛や片側顔面痙攣、舌咽神経痛に対する神経血管減圧術など、機能的脳神経外科手術にも対応しています。これらの疾患では顔の痛みやぴくつき、視力や聴覚の低下などの症状を伴うことが多いため、耳鼻科・眼科・歯科を受診される患者さんが少なくありません。そのため、これらの診療科の地域医療機関の方々とも連携を図っています。
  • なお、脳腫瘍や機能性疾患に対する当院の治療につきましては、以下のページで詳細にご説明しておりますので、ご参照ください。

  • また水頭症に対しては、余分な脳脊髄液を体外へ逃がすシャント手術を行います。脳室‐腹腔間(VPシャント)と腰椎‐腹腔間(LPシャント)を、患者さんに応じて使い分けます。




頭部外傷
  • 当院では、単独の重症頭部外傷はもちろん、多発外傷合併重症例の救急搬送症例も多く、減圧開頭術や穿頭術、ICPセンサー(頭蓋内圧センサー)などを組み合わせ、血管内冷却装置を活用した積極的平温療法を駆使した集学的治療を実施し、患者さんの救命率向上と機能予後の改善に努めています。
  • 当院の大きな特徴はハイブリッドERの活用です。救急搬送後すぐにCTや血管造影を行い、必要に応じてそのまま手術へ移行できる体制を整えています。単独の頭部外傷だけでなく、体幹部損傷を伴う多発外傷にも対応し、それぞれの手術を並行して実施することで、治療の迅速化を図っています。




外来診療について

頭痛、めまい、手足のしびれ、顔面のけいれんなどの症状がある方は、脳が原因の場合もありますので、 早めの受診をお勧めします。外来では、MRIやCTなどの画像診断を用いた精密検査を実施し、必要に応じて専門的な治療をご提案します。
紹介状をお持ちでない方は、与次郎米盛クリニックの脳神経外科外来をご受診ください。





 

手術件数
2020年 2021年 2022年 2023年 2024年
脳血管内治療 破裂動脈瘤 6 9 10 9 3
未破裂動脈瘤
(うちフローダイバーター)
4 15 11 15(7) 11
脳動静脈奇形 1 0 2 1 0
動静脈瘻
(硬膜動静脈瘻含む)
3 4 2 1 3
経皮的脳血栓回収術 21 24 33 48 28
経皮的脳血管拡張術
(うち頭蓋内ステント)
1 7(1) 4 8(2) 1
頚動脈ステント留置術 6 9 10 7 4
腫瘍塞栓術 0 2 1 5 1
その他
(選択的塩酸ファスジル動注療法など)
4 5 3 3 3
脳血管内治療 小計 46 75 76 97 54
脳血管障害直達
手術
破裂動脈瘤
(うちバイパス併用下)
2 6 10(1) 16(1) 19
未破裂動脈瘤
(うちバイパス併用下)
2 9 16 11(1) 21
脳動静脈奇形 1 2 3 1 1
頚動脈内膜剥離術 0 3 4 7 11
バイパス術
(直接血行再建)
0 7 16 15 8
高血圧性脳内出血
(開頭術)
12 15 24 25 12
高血圧性脳内出血
(定位手術)
2 1 5 0 0
その他 8 9 8 2 3
脳血管内治療 小計 27 52 86 77 75
頭部外傷 急性硬膜外血腫・急性硬膜下血腫
(脳挫傷・減圧開頭術含む)
19 26 45 26 45
慢性硬膜下血腫 27 44 38 36 39
その他 0 1 2 5 5
頭部外傷 小計 46 71 85 67 89
脳腫瘍摘出術 0 3 6 4 3
神経血管減圧術(三叉神経痛、片側顔面痙攣等) 0 1 1 4 3
水頭症シャント手術 4 14 23 22 24
その他 15 29 54 34 32
総合計 138 245 331 305 280

(集計期間:1月~12月)





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