診療科案内

脳神経外科

脳神経外科

脳神経外科手術件数

 

手術件数内訳

2020年 2021年 2022年 2023年
脳血管内治療 破裂動脈瘤 6 9 10 9
未破裂動脈瘤(うちフローダイバーター) 4 15 11 15(7)
脳動静脈奇形 1 0 2 1
動静脈瘻(硬膜動静脈瘻含む) 3 4 2 1
経皮的脳血栓回収術 21 24 33 48
経皮的脳血管拡張術(うち頭蓋内ステント) 1 7(1) 4 8(2)
頚動脈ステント留置術 6 9 10 7
腫瘍塞栓術 0 2 1 5
その他(選択的塩酸ファスジル動注療法など) 4 5 3 3
脳血管内治療 小計 46 75 76 97
脳血管障害直達
手術
破裂動脈瘤(うちバイパス併用下) 2 6 10(1) 16(1)
未破裂動脈瘤(うちバイパス併用下) 2 9 16 11(1)
脳動静脈奇形 1 2 3 1
頚動脈内膜剥離術 0 3 4 7
バイパス術(直接血行再建) 0 7 16 15
高血圧性脳内出血(開頭術) 12 15 24 25
高血圧性脳内出血(定位手術) 2 1 5 0
その他 8 9 8 2
脳血管内治療 小計 27 52 86 77
頭部外傷 急性硬膜外血腫 2 4 4 2
急性硬膜下血腫(脳挫傷・減圧開頭術含む) 17 22 41 24
慢性硬膜下血腫 27 44 38 36
その他 0 1 2 5
頭部外傷 小計 46 71 85 67
脳腫瘍摘出術 0 3 6 4
神経血管減圧術(片側顔面痙攣) 0 1 1 4
水頭症シャント手術 4 14 23 22
その他 15 29 54 34
総合計 138 245 331 305

(集計期間:2020年・2021年・2022年・2023年 1月~12月)

 

当科の診療の柱は①脳卒中、②頭部外傷です。当科は2013年より伊地知寿医師が頭部外傷から脳卒中まで幅広く診療しておりました。井上泰豪医師が2017年10月に赴任後より脳卒中症例数が急増し、2019年4月に脳血管内治療センターを立ち上げました。同年、第1回一次脳卒中センター(PSC)の認定を受け、日本脳卒中学会認定研修施設を取得しています。また、頭部外傷領域においては、鹿児島県唯一の日本脳神経外傷学会認定研修施設を取得しています。

そして、2022年度には、PSCコア(一次脳卒中センターコア)施設の認定を受けました。このPSCコア施設は、2023年3月末時点で鹿児島県下では3施設のみです。

2021年度からは急性期脳梗塞に対する血栓回収療法(後述)の体制を日本脳神経血管内治療学会専門医 1名、経皮的脳血栓回収療法実施医 2名の計3名体制へと増員し、脳神経外科当直と併せて脳卒中診療の更なる充実を図っています。また、開頭手術部門では祝迫恒介医師の就任により更なる充実を得て、脳腫瘍や神経血管減圧術(顔面痙攣や三叉神経痛)などを含め、診療範囲を更に拡充しております。

鹿児島県内各所の救急隊のみなさまのご理解・ご協力のもと、2022年度の脳神経外科領域の救急搬送受入件数は、前年度から約2割増加し481件となりました。また、脳神経外科手術件数もそれに伴い増加し、2022年は総計331件となり、血栓回収療法を含めました脳血管内治療も同様に増加しております。
血栓回収療法や脳動脈瘤などに対するカテーテル手術(脳血管内治療)、動脈瘤や高血圧性脳内出血、頭部外傷に対する直達手術(開頭手術)など、いずれも増加しています。

脳神経外科領域救急搬送受入件数

疾患について

脳卒中は、脳梗塞、脳出血、くも膜下出血と大きく分類されますが、この中でも近年注目を集めているものが、急性期脳梗塞の治療です。脳梗塞は脳血管が血栓などで閉塞し、脳組織が死にゆく病気ですが、この脳梗塞の超急性期治療では、病院到着から治療開始が早ければ早いほど良好な転帰が期待されます。当院では、点滴薬剤により脳血管の詰まりの原因となっている血栓を溶かして血流を再開させる「tPA静注療法」や、カテーテルを足や腕の血管から挿入し、脳の血管まで到達させ、血管を閉塞させている血栓をカテーテルで取り除く「血栓回収療法」などが迅速に行える体制を整えています。鹿児島県内の救急隊のみなさまにも病院への搬入前から迅速かつ適切な情報提供をいただくなど多大なご協力をいただきながら、当院ではガイドライン等で推奨される治療開始時間の目安を大幅に上回り、迅速な治療開始を実現しています。

tPA静注療法

 

当院での実施件数

急性期血行再建 脳血管内治療(血栓回収など)

 

当院での実施件数

また上記脳梗塞急性期だけではなく、頚動脈狭窄病変や慢性的な脳虚血病変(動脈硬化性閉塞疾患やもやもや病など)も近医の先生方からご紹介いただける状況が増えてまいりました。これら疾患については、頚動脈内膜剥離術(CEA)、頚動脈ステント留置術(CAS)、直達血行再建術(開頭直接バイパス術・間接バイパス術)といった、血行再建術も全て常時行える状況を整えております。

くも膜下出血はその原因の約9割が脳動脈瘤の破裂です。このくも膜下出血の致死率は高く、くも膜下出血全体の死亡率は約30〜50%、手足の麻痺や意識障害など後遺症が残る可能性も約30〜40%と言われています。一度破裂した脳動脈瘤は48時間以内に再破裂することが多いとされています。この破裂脳動脈瘤に対しては、再破裂予防のためネッククリッピング術(開頭手術)や脳血管内治療(カテーテル手術)のどちらかを実施することになります。当院では、いずれの治療も迅速に行える体制を24時間整えております。

近年、脳ドックや健診などで無症状の未破裂脳動脈瘤が見つかり、当院にご紹介いただく患者様も増えております。当院では、MRI/A, 3DCTA, 脳血管撮影検査(カテーテル検査)により動脈瘤の大きさはもちろん、その形態や周囲の血管との関係性などを見極め、開頭手術が良いのか、カテーテル手術が良いのかをそれぞれ専門医の立場から検討し、最適な治療方針をご提案しています。

当院での実施件数

脳出血については、血腫の大きさ、位置などによっては緊急手術が必要な場合があり、必要な場合においては救急科・麻酔科と連携し、いつでも開頭手術を行える状況を整えています。

脳出血やくも膜下出血の稀な原因として、脳動静脈奇形や硬膜動静脈瘻など、複雑な血管病変が背景に存在することがありますが、当院では多くの症例を経験した専門医が周囲血管との関係性を十分に見極め、脳血管内治療(カテーテル治療)や開頭手術、また放射線治療を組み合わせた最適な治療を実施しております。

また、頭部外傷についてですが、単独の重症頭部外傷はもちろん、多発外傷合併重症例の救急搬送症例も多く、減圧開頭術、穿頭術、ICPセンサー(頭蓋内圧センサー)などを組み合わせ、血管内冷却装置を用いた積極的平温療法を駆使し、集学的治療を実施しています。

脳卒中・頭部外傷の救急患者様を多く搬送いただいておりますが、頭痛や手足のしびれ・動かしづらさ、また顔面の痙攣や三叉神経痛など、日常生活でお困りの症状から脳の病気が見つかることもあります。脳の病気のことでご不安があればいつでも外来にご相談ください。

医師一覧

 

部長  伊地知 寿

  • 日本脳神経外科学会脳神経外科専門医/指導医
  • 日本航空医療学会認定指導者
  • 日本スポーツ協会公認スポーツドクター
  • 日本DMAT隊員
  • ICLS ディレクター

 

脳卒中センター長  井上 泰豪

  • 日本脳神経外科学会脳神経外科専門医/指導医
  • 日本脳神経血管内治療学会専門医
  • 日本脳卒中学会専門医/指導医
  • 日本脳神経外傷学会指導医/学術評議員
  • 日本外傷学会外傷専門医/評議員
  • 日本集中治療医学会集中治療専門医
  • 日本救急医学会救急科専門医
  • フローダイバーター実施医(Pipeline、FRED)
  • Onyx実施医

 

脳腫瘍センター長  祝迫 恒介

  • 日本脳神経外科学会脳神経外科専門医
  • 頚動脈ステント留置術実施医
  • 経皮的脳血栓回収療法実施医
  • ドクターオブドクターズネットワーク® 優秀専門臨床医™(2023-2025)

 

波多野 勇人

  • 日本脳神経外科学会日本脳神経外科専門医/指導医
  • 日本脳神経血管内治療学会専門医
  • 日本脳卒中学会専門医
  • 経皮的脳血栓回収療法実施医

 

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