診療科案内

脳卒中センター

脳卒中センター

 

沿革

2017年10月 井上泰豪医師赴任以降、脳卒中症例数は年々増加し、2019年4月には前身となる脳血管内治療センターを立ち上げ、一次脳卒中センター(PSC)および日本脳卒中学会認定研修施設の認定を受けることができました。2021年度からは急性期脳梗塞に対する血栓回収療法(後述)の体制を日本脳神経血管内治療学会専門医 2名、経皮的脳血栓回収療法実施医 1名の計3名体制へと増員し、脳神経外科当直と併せて脳卒中診療の更なる充実を図っています。体制の充実に加え、診療実績を重ねた結果、2022年度にはPSCコア(一次脳卒中センターコア)施設認定を受けています。

  • PSCコア施設とは(詳しくはこちら)
  • 鹿児島県内でコア施設認定を受けているのは当院を含め3施設のみです(2023年3月末時点)。

急性期脳梗塞

近年注目を集めている脳梗塞の超急性期治療では、病院到着から治療開始が早ければ早いほど良好な転帰が期待されます。当院では、点滴薬剤により脳血管の詰まりの原因となっている血栓を溶かして血流を再開させる「tPA静注療法」や、カテーテルを足や腕の血管から挿入して脳の血管まで到達させ、血管を閉塞させている血栓をカテーテルで取り除く「血栓回収療法」などが迅速に行える体制を整えています。鹿児島県内の救急隊のみなさんとも連携し、当院ではガイドライン等で推奨される治療開始時間の目安を大幅に上回り、迅速な治療開始を実現しています。また、カテーテル治療では治療困難である動脈硬化性病変や慢性閉塞性疾患を背景にもつ脳虚血の患者様には、開頭でのバイパス手術を行うことでさらなる予後の改善を図っています。

 

tPA静注療法
  • 当院での実施件数

 

急性期血行再建 脳血管内治療(血栓回収など)
  • 当院での実施件数

脳出血

脳出血については、症状に関わる血腫の大きさ、位置などによっては緊急手術が必要な場合があり、必要な場合においては救急科・麻酔科と連携し、いつでも開頭手術を行える状況を整えています。また、脳出血の原因疾患として脳動脈瘤や動静脈奇形、硬膜動静脈瘻といった稀有な疾病が隠れている場合があります。その場合、根治手術が必要となることがありますので、しっかりとした精査も併せて実施しております。

脳動脈瘤

くも膜下出血はその原因の約9割が脳動脈瘤の破裂です。このくも膜下出血の致死率は高く、くも膜下出血全体の死亡率は約30〜50%、手足の麻痺や意識障害など後遺症が残る可能性も約30〜40%と言われています。一度破裂した脳動脈瘤は48時間以内に再破裂することが多いとされています。この破裂脳動脈瘤に対しては、再破裂予防のためネッククリッピング術(開頭手術)や脳血管内治療(カテーテル手術)のどちらかを実施することになります。当院では、いずれの治療も迅速に行える体制を24時間整えております。
また、近年脳ドックや健診などで無症状の未破裂脳動脈瘤が見つかり、当院にご紹介いただく患者さまも増えております。当院では、MRI/A, 3DCTA, 脳血管撮影検査(カテーテル検査)により動脈瘤の大きさはもちろん、その形態や周囲の血管との関係性などを見極め、開頭手術が良いのか、カテーテル手術が良いのかを十分に検討し、最適な治療方針をご提案しております。また、カテーテル手術においては脳動脈瘤治療の最先端治療である、フローダイバーター治療も積極的に実施しております。

脳動静脈奇形・硬膜動静脈瘻

脳出血やくも膜下出血の稀な原因として、脳動静脈奇形や硬膜動静脈瘻など、複雑な血管病変が背景に存在することがありますが、これまでの多くの症例経験をもとに周囲血管との関係性を十分に見極め、脳血管内治療(カテーテル治療)や開頭手術、また放射線治療を組み合わせた最適な治療を実施しております。

神経集中治療

脳卒中センター長の井上泰豪医師は日本集中治療医学会集中治療専門医資格も有しており、近年注目されている神経集中治療も当センターの強みとして注力しております。当センターでは、集中治療室(ICU)とは別に脳卒中専門病床として脳卒中ケアユニット(Stroke Unit)8床を有しています。医師だけではなく、看護師・理学療法士・作業療法士・言語聴覚士・薬剤師・栄養士・社会福祉士・医療事務が皆、脳卒中療養相談士として多職種チームで脳卒中診療に取り組んでいます。Stroke Unitでは神経モニタリングから人工呼吸器管理やCHDF管理に至るまで適切な脳指向型全身管理を行い、患者様の更なる神経学的転帰改善に努めています。

最後に

急性期脳梗塞をはじめとして、脳卒中領域においてカテーテルを用いた脳血管内治療は近年急速に発展しており、今後もこの流れは続いていくものと思われます。当センターとして引き続きの研鑽を重ねるとともに若手医師・多職種チームの育成にも努め、更なる患者様の転帰改善の実現に努めてまいります。

  • 脳卒中センター長 井上 泰豪
    • 日本脳神経外科学会脳神経外科専門医/指導医
    • 日本脳神経血管内治療学会専門医
    • 日本脳卒中学会専門医/指導医
    • 日本脳神経外傷学会指導医/学術評議員
    • 日本外傷学会外傷専門医/評議員
    • 日本集中治療医学会集中治療専門医
    • 日本救急医学会救急科専門医
    • フローダイバーター実施医(FRED)
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