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完全内視鏡下脊椎手術 FESS(Full-Endoscopic Spine Surgery)

完全内視鏡下脊椎手術 FESS(Full-Endoscopic Spine Surgery)

 

まず「FESS (フェス)」とは、どのような手術ですか?

FESSは「完全内視鏡下脊椎手術」のことで、直径約8ミリの脊椎内視鏡システムを用いて行う、現在もっともからだへの負担が少ない脊椎手術のひとつです。皮膚の切開は8~10ミリ程度と小さく、筋肉や靭帯、骨をなるべく傷つけずに済むため、手術後の痛みが軽く、回復が早いのが特長です。入院期間も従来の7~10日程度に比べ、目安は約4日と短くなります。

 

なぜ当院で FESS を導入したのですか?

外来で「手術に踏み切れない」という患者さんに多く出会ってきました。仕事や家庭で長い休みが取りにくい方、手術の痛みが心配な方など、事情はさまざまです。保存的な治療で改善する場合もありますが、痛みが続く方や、力が入りにくいといった神経症状が出る方では、手術が必要になることがあります。こうした方にも負担の少ない選択肢をご提供するため、FESSを導入しました。

 

どのような病気がFESSの対象になりますか?

当面は腰椎椎間板ヘルニアのみを対象とします。飛び出した椎間板が神経を圧迫し、脚の痛みやしびれ、筋力低下を引き起こす病気です。手術をしなくても自然に改善することもありますが、

  1. 1~2ヶ月の保存療法でも改善しない
  2. 痛みが強く日常生活が困難
  3. 脚に力が入らない
  4. 排尿や排便などの障害が出た

といった場合は手術が必要になることがあります。なお、今後は腰部脊柱管狭窄症や首の病気などにも、対象を段階的に広げていく方針です。

 

FESSのメリットをより具体的に教えてください。

傷が小さいことに加え、筋肉や骨をあまり傷つけないため、手術後の感染リスクを抑えやすく、回復も早いのが特長です。結果として、日常生活や仕事、スポーツへの復帰が早期に期待できます。

 

FESSのみで治療できない場合、どんな治療の選択肢がありますか?

当院では、からだへの負担が少ないFESSから、ボルトで脊椎を固定する脊椎固定術まで、多様な術式に対応できます。診察の結果、FESSでは治療困難と判断される場合でも、患者さんの状態に合わせて他の手術法を丁寧にご提案します。

 

受診のタイミングや診療の流れを教えてください。

脊椎の病気は、早く受診するほど選択肢が広がり、からだへの負担が少ない治療を選びやすくなります。まずは整形外科の外来で症状や経過を拝見し、必要な画像検査(MRIなど)を行ったうえで、保存療法を含めた治療計画をご説明します。FESSを選択する場合も、入院日数や復帰時期の目安を具体的にお話しし、不安を一つずつ解消していきます。

 

脊椎の手術に「怖い」という印象をお持ちの方は少なくありません。しかし、FESSの導入によって、より小さな負担で改善を目指せる選択肢が増えました。私たちは医師だけでなく、多職種のスタッフが一つのチームとなって、患者さんの「早く楽になりたい」という思いに伴走します。少しでも気になる症状があれば、どうぞ遠慮なくご相談ください。

  • 監修:尾崎 友則

    整形外科/脊椎グループ

    • 日本整形外科学会整形外科専門医
    • 日本整形外科学会脊椎脊髄病医
    • 日本整形外科学会運動器リハビリテーション医
    • 日本脊椎脊髄病学会脊椎脊髄外科指導医
    • 日本脊椎脊髄病学会・日本脊髄外科学会脊椎脊髄外科専門医
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